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Q. 【胎児の相続権について解説】胎児の遺産分割協議・相続放棄・遺言・相続税申告・相続登記について

2023年11月23日更新

妻の妊娠中に夫が死亡した場合、夫の相続との関係でお腹の子はどう扱われるのでしょうか。胎児はまだ生まれていませんが、いずれ生まれることが予想されるため、相続に関して特殊な扱いをされています。この記事では相続に関する胎児の扱いや注意点などについて解説いたします。

胎児の遺産相続に関する権利

「私権の享有は、出生に始まる。」(民法3条1項)ため、生まれる前の胎児には原則として権利能力がありませんが、「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。」とされており、胎児には遺産相続に関する権利があります。

ただし、「前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。」とされており、流産や死産の場合には遺産相続に関する権利がありません。

(相続に関する胎児の権利能力)
民法886条
1 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

胎児が生きて生まれた場合は、相続人となり、流産や死産の場合は相続人になりませんが、生まれた直後に胎児が亡くなったとしても、流産や死産ではないため胎児は相続人となります。

なお、胎児が生まれるまで遺産相続に関する権利が確定しないため、生まれた後に相続手続きを行うのが一般的です。 

また、胎児は代襲相続をすることもできます。祖父が亡くなった時点で、父親(祖父の子)が亡くなっているケースでは、胎児(祖父の孫)が父親に代わって祖父の相続人になります。

胎児の相続放棄

実務上、胎児は相続放棄をすることができないとされており、生まれた後に相続放棄をすることになります。

具体的には、胎児が生まれた後に、親権者が未成年者の法定代理人として相続放棄の申述をすることになりますが、外形的にみて、①親権者と子との利益が相反する場合や、②相続放棄をする子と他の子の利益が相反する場合には利益相反行為にあたり、代理をすることができません。例えば、親権者と子の両方とも相続人であり、親権者は相続放棄をしないが、子は相続放棄をする場合などは利益相反に該当します。

この場合は、家庭裁判所に特別代理人の選任申立てを行い、選任された特別代理人が子の相続放棄を代理することになります。

胎児の遺産分割協議

相続人に胎児がいる場合、胎児が出生し、その子に遺産相続に関する権利があることを確認してから遺産分割協議を行うことになります。遺産分割協議は相続人全員で行わなければ無効となるため、胎児がいるケースでは特に注意が必要です。

遺産分割協議も相続放棄と同様、親権者が未成年の子の法定代理人として遺産分割協議を行いますが、利益相反行為にあたる場合には行えません。特別代理人を選任し、特別代理人に子の遺産分割を代理してもらうことになります。

胎児に遺言で相続や遺贈をすることは可能か?

胎児は遺産相続に関する権利だけでなく、受遺者になる資格も有しています。したがって、遺言書を書くことで、胎児に対して相続させたり、遺贈をすることが可能です。

ただし、流産や死産の場合には、遺産相続に関する権利や受遺者になる資格がないため、胎児に対して相続させたり遺贈する旨の遺言条項は無効となります。万が一胎児が流産や死産した場合に備えた条項も遺言で定めておくと良いでしょう。

胎児の相続税申告

相続税の申告時に胎児が生まれていない場合は、一旦胎児はいないものとして相続税を計算し申告し、胎児が生まれた後に修正申告や更正の請求をすることになります。

胎児の相続登記

胎児でも法定相続分による相続登記をすることは可能です。胎児が生まれたあとに、子の氏名に変更する登記手続きや住所変更の登記手続きをすることになります。流産や死産の場合には、胎児に遺産相続に関する権利がないため所有者の更正の登記手続きをすることになります。登記手続きに手間はかかりますが、胎児の権利を保全する必要がある場合などには胎児の相続登記を行うべきでしょう。

まとめ

この記事では、胎児の遺産相続に関する解説をいたしました。胎児の遺産相続手続きは、注意を要することがあるため、弁護士に相談することをお勧めいたします。


【記事監修者】

白土文也法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや)  
第二東京弁護士会所属  中央大学法学部法律学科卒業

当事務所が最も注力する分野は遺産相続問題です。
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