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相続Q&A

遺産相続問題に関するよくある質問や、相続に関する基礎知識・豆知識、判例などをQ&A方式でご紹介いたします。

Q. 【法定遺言事項について解説】遺言で法的に効力が認められる内容とは?

更新日:2023年7月27日

民法やその他の法律上、遺言で効力を生じさせることが出来る事項(法定遺言事項と言います)が定められており、法定遺言事項には、①相続に関する事項、②遺言執行者に関する事項、③財産の処分に関する事項、④身分に関する事項、⑤その他の事項があります。

遺言書に何を記載するかは遺言者の自由ですが、法定遺言事項以外のことを書いても法的には効力を有しないことには注意が必要です。例えば、遺言者が相続人らに対する思いを記載する付言事項というものがありますが、これは法定遺言事項ではないため、法的には効力を有しません。

相続に関する法定遺言事項

・相続分の指定または指定の委託

各相続人が取得できる遺産の割合を指定したり、第三者に割合の指定を依頼することが可能です。

・遺産分割方法の指定または指定の委託

遺産の分割方法を指定したり、第三者に分割方法の指定を依頼することができます。

なお、「相続人Aに対し、~~を相続させる」などと記載して遺産に属する特定の財産を共同相続人の1人又は数人に承継させる旨の遺言である特定財産承継遺言は、遺産分割方法の指定の一つです。以前は、いわゆる相続させる旨の遺言と呼ばれていましたが、相続法の改正により、特定財産承継遺言として正式に定められました。


(民法・第1014条第2項)
遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第八百九十九条の二第一項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。

・特別受益の持ち戻しの免除

特別受益の持ち戻しとは、特別受益に該当する贈与等が遺産分割の際に考慮されることです。持ち戻しを免除する意思表示をすることで持ち戻しがされなくなります。遺言でも持ち戻し免除の意思表示をすることができます。なお、遺産分割とは異なり、遺留分侵害額請求の場面では特別受益の持ち戻しの免除は認められないため、他の相続人の遺留分を侵害しないよう注意が必要です。

(関連記事)「Q. 遺産分割における特別受益とは?特別受益の具体例を解説

・遺言の撤回

これまでにした遺言を撤回することができます。なお、遺言の撤回方法は厳密に定められているため、方法を間違えると遺言の撤回が認められなくなる点には要注意です。

・推定相続人の廃除・廃除の取消し

廃除とは、被相続人に虐待や重大な侮辱をした推定相続人や、著しい非行があった推定相続人について、被相続人の意思に基づいて相続資格をはく奪する制度です。被相続人は、推定相続人の廃除や、廃除の取り消しを家庭裁判所に請求することができますが、遺言で推定相続人の廃除や、廃除の取り消しをする意思を表示しておくこともできます。遺言で意思を表示しておいた場合、遺言の効力が生じた後に遺言執行者が廃除や廃除の取り消しを家庭裁判所に請求します。

なお、遺言による推定相続人の廃除は、家庭裁判所での審理の際に既に遺言者が亡くなっているため、推定相続人による虐待や重大な侮辱があったこと、著しい非行があったことの主張立証が容易ではないという問題があります。どのような証拠を残しておくべきか弁護士に相談すべきでしょう。

・遺贈又は同時にされた贈与の遺留分侵害額の負担割合の指定

受遺者が複数人いる場合や、同時に贈与された受贈者が複数人いる場合、遺言で遺留分侵害額の負担割合を決めることができます。なお、遺言で決めていない場合は遺贈や贈与の価額の割合に応じて遺留分侵害額を負担することになります。

・共同相続人間の担保責任に関する指定

下記の共同相続人間の担保責任に関して、遺言で排除したり、修正したりすることが可能です。

  • 相続人が遺産分割により取得したものに瑕疵がある場合、他の共同相続人は売主と同じ担保責任(代金減額、損害賠償などを負います(民法911条)。
  • 遺産の分割の結果取得した債権について、回収できない場合、他の共同相続人は、分割時の債務者の資力を担保する責任を負います(民法912条1項)。また、弁済期が到来していない場合や、停止条件付きの債権については、各共同相続人は、弁済をすべき時における債務者の資力を担保します(民法912条2項)。
  • 担保責任を負う共同相続人に資力がない者がいる場合、その者が償還することができない部分について、過失のない求償者や、他の資力のある者が、それぞれの相続分に応じて担保する責任を負います(民法913条)。

・遺産分割の禁止

遺産の分割を一定の期間(最長で相続開始の時から5年間)禁止することが可能です。

(関連記事)「Q. 遺産分割の禁止とは?その方法と用いられるケースについて解説

遺言執行に関する法定遺言事項

・遺言執行者の指定又は指定の委任

遺言の内容を実現するために手続きを行う者(遺言執行者)を指定したり、第三者に指定を依頼することが可能です。

財産の処分に関する法定遺言事項

・遺贈

遺言により被相続人の財産を無償で他人に与えることができます。遺贈には、包括遺贈特定遺贈があります。

・遺言による信託

信託法により、「特定の者(受託者)に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言」をすることで信託が可能です。この信託は、遺言の効力の発生によって効力が生じます。もっとも、いわゆる家族信託をする場合、委託者と受託者との間で信託契約をすることで信託を設定し、生前に信託の効力を生じさせることが多く、遺言信託のケースは少ないのが実情です。

・一般財団法人の設立

遺言により一般財団法人の設立が可能です。

身分に関する法定遺言事項

・未成年後見人・未成年後見監督人の選任

管理権を有する親権者は、他に管理権を有する親権者がいない場合に、遺言で未成年後見人や、未成年後見監督人を選任することが可能です。

・認知

認知は遺言でもすることが可能です。

その他の法定遺言事項

・祭祀財産の継承者の指定

祭祀財産(系譜、祭具及び墳墓の所有権)を承継する者を遺言で指定することが可能です。

・生命保険金の受取人変更

生命保険金の受取人の変更は遺言でもすることが可能です。

※遺言書作成の相談をご希望の方はこちらのページをご覧ください。

【記事監修者】

白土文也法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや)  
第二東京弁護士会所属  中央大学法学部法律学科卒業

当事務所が最も注力する分野は遺産相続問題です。
遺産分割、遺留分侵害額請求、相続放棄、遺言書作成、家族信託、事業承継など遺産相続に関わる問題全般に対応しております。
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