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Q. 姻族関係終了届(死後離婚)とは何か?相続手続き・遺族年金への影響やメリット・デメリットについて解説
2023年9月24日更新
姻族関係終了届(死後離婚)とは
姻族関係終了届とは、夫婦の一方が死亡した場合に、生存配偶者が死亡した配偶者の血族との親族関係(姻族関係)を終了するために役所に提出する届出のことです。
本記事では夫が死亡し、妻が姻族関係終了届を提出する場合を想定し、姻族関係終了届のメリットや注意点などを解説します。
なお、姻族関係終了届は死後離婚とも呼ばれることがあります。しかし、実際には夫婦の婚姻関係は配偶者が死亡することで終了しており、離婚とは異なるという点は要注意です。配偶者の血族との親族関係を終了するものと考えると、メリットや注意点を理解しやすいでしょう。
姻族関係終了届のメリット
姻族関係終了届のメリットは、妻と夫の血族との間の親族関係を終了することにありますが、具体的には以下のメリットがあります。
・夫の血族に対し扶養義務を負うことがなくなる
家庭裁判所は、特別の事情があるときは、三親等内の親族に扶養義務を負わせることができます。しかし、夫の血族との親族関係が終了することにより、夫の血族(義両親など)に対する扶養義務を負うことがなくなります。もっとも、家庭裁判所が配偶者の血族に対する扶養義務を負わせるケースは少ないのが実情です。
・配偶者の祖先の祭祀主催者をやめることができる
例えば、妻が夫の父親から夫の祖先の祭祀主催者として祭祀財産を承継していた場合、姻族関係を終了することで妻は祭祀の主催者の地位を失い、新たに祭祀を承継する者を定めることになります。つまり、配偶者の祖先の祭祀主催者をやめることができます。
また、義両親と不仲で心情的に親族関係を終了したい方にとっては、姻族関係終了届を出すことで関係を整理できるというメリットもあるでしょう。
姻族関係終了届は遺産相続に影響しない
なお、姻族関係終了届は亡くなった配偶者の血族との親族関係を終了するものですから、以下の点には影響しません。
- 死亡した配偶者の遺産相続
- 遺族年金
- 死亡した配偶者の祭祀の主宰者
東京高裁昭和62年10月8日判決は、姻族関係終了の意思表示をした妻を夫の祭祀を主宰する者と認める旨の判断をしました。姻族関係終了の届出をしても、配偶者の祭祀の主宰者の地位は失いません。
姻族関係終了届の注意点
姻族関係終了届の注意点は以下の通りです。
- 相続放棄の効果はない。
- 子どもと配偶者の血族との間の親族関係に影響しない。
- 復氏の効果はない。
- 姻族関係終了届を提出したことにより義両親との関係が悪化する場合がある。
- 撤回できない。
姻族関係終了届は、亡くなった配偶者の血族との親族関係を終了するものですから、相続放棄の効果はありませんし、子どもと配偶者の血族との間の親族関係に影響しません。また、離婚の場合は原則として旧姓に戻りますが、死別の場合に旧姓に戻るには復氏届の提出が必要です。姻族関係終了届を提出したことについて役所から義両親に連絡が入るわけではありませんが、義両親が戸籍を確認した際に気づく可能性があり、義両親との関係が悪化する場合があります。義両親との関係が悪化すると、その影響が子どもに及ぶことも考えられます。姻族関係終了届は撤回できないため、十分に考えた上で提出する必要があるでしょう。
姻族関係終了届の手続き
生存配偶者の本籍地または所在地の市町村役所で姻族関係終了届の手続きをすることができます。姻族の了解を得る必要はなく、生存配偶者単独で届出をすることが可能です。手続きに必要な物は各役所により異なるため、役所への確認が必要です。
なお、提出期限はありません。心情面以外のメリットがないケースもあるため、姻族関係終了届を提出するかは十分に考えると良いでしょう。迷う場合には弁護士に相談するのがお勧めです。
※亡くなった配偶者の親族との関係でお悩みの方は当事務所へご相談下さい。姻族関係終了届はもちろん、相続争い・祭祀の承継問題・その他様々な相談に対応しております。 |
【記事監修者】 白土文也法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや) 第二東京弁護士会所属 中央大学法学部法律学科卒業 当事務所が最も注力する分野は遺産相続問題です。 遺産分割、遺留分侵害額請求、相続放棄、遺言書作成、家族信託、事業承継など遺産相続に関わる問題全般に対応しております。 相談件数の半分以上を相続問題が占めており、所属弁護士5名全員が、日々、相続に関して研鑽を積んでおります。是非、ご相談ください。 弁護士のプロフィールはこちら |
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