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相続Q&A

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Q. 財産の一部だけ相続放棄をすることは可能でしょうか?

2023年8月11日更新

相続財産の中に、いわゆる「負動産」がある場合、「負動産」だけを相続放棄したいというご相談が来ることがあります。また、財産は引き継ぎたいけれど、借金は引き継ぎたくないという方もいます。特定の財産だけ選んで相続放棄することや、借金だけ相続放棄することは出来るのでしょうか?

この記事では、「負動産」や借金を引き継がずに済む方法について解説いたします。

相続放棄では「負動産」や借金だけ放棄することはできない

相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったものと扱われます。そもそも相続自体をしないことになるため、相続放棄で「負動産」や借金だけ引き継がないようにすることはできません


民法・第九百三十九条 (相続の放棄の効力)
「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」

「負動産」を引き継がないようにする方法

以下では、「負動産」を引き継がないようにする方法について紹介いたします。

遺産分割協議で他の相続人に取得してもらう

遺産分割協議の中で、「負動産」を引き継ぐ人を決めることで他の相続人が負動産を引き継ぐことを回避することが可能となります。

もっとも、「負動産」を引き継ぐ人がいない場合には「負動産」の押し付け合いになる場合があります。また、やむを得ず「負動産」を引き継ぐと、引き継いだ人にとって負担になってしまいます。

相続分を譲渡して金銭を得る

「負動産」を相続により共有で取得した場合、相続分の譲渡をして金銭を得ることで「負動産」を引き継ぐことを回避しながら一定の財産を手にすることが可能です。ただし、相続分の譲渡をすると、「負動産」以外の相続財産も取得することが出来なくなること、相続債務を免れることが出来ないということには注意が必要です。

相続した「負動産」の共有持分を放棄する

「負動産」を共有している場合、不動産の共有持分を放棄する方法もあります。ただし、登記手続き・税金・権利の濫用のリスクなどがありますので慎重に進めるべきでしょう。

(関連記事)「Q. 土地の共有持分を放棄する方法について解説

相続土地国庫帰属制度を利用する

更地については相続土地国庫帰属制度を利用し、国に引き取ってもらうことが可能です。ただし、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力が必要な場合は引き取ってもらえません。管理や処分が大変なため「負動産」になっている土地もあるため、相続土地国庫帰属制度を利用できるか十分に検討する必要があります。

(関連記事)「Q. 相続土地国庫帰属制度とは?制度の概要・要件・負担金など手続きについて解説

借金を引き継がずに財産を引き継ぐ方法

次に、借金を引き継がずに財産を引き継ぐ方法について解説いたします。

限定承認 

限定承認をすることで被相続人の債務などを相続財産の限度で弁済すればよいことになり、相続人自身の財産から借金を返済する必要がなくなります。相続債務などの弁済に資金が足りない場合は相続財産が競売にかけられますが、相続人は鑑定評価額を支払うことで優先的に買い取ることが可能です。

相続人及び債権者と交渉して他の相続人に借金を承継してもらう

借金は相続開始時に法定相続分の割合に応じて自動的に分割されるため、遺産分割の対象にはなりません。ただし、相続人全員の合意があれば借金を相続人の誰かに負担させることが可能です。ただし、債権者の承諾がなければ遺産分割で借金を負担する人を決めたとしても、債権者には主張できないため、債権者の承諾を得る必要があります。

残したい財産を生前贈与してもらい、相続放棄する

生前贈与で財産を残し、相続発生後に相続放棄をすることで借金を引き継がないことができます。ただし、生前贈与時に財産より債務の方が多い場合には、生前贈与が詐害行為として取り消されるリスクがあります。

残したい財産を遺贈してもらい、相続放棄する

相続放棄をしても特定の財産に関する遺贈は受けることができます。なお、遺贈を詐害行為として取り消すことができるかという点について裁判例は見当たりませんが、学説上は見解が分かれており、遺贈が詐害行為として取り消される可能性があることには要注意です。

生前に負動産や借金をなくしておく

以上で紹介した「負動産」や借金を引き継がない方法は、相続人に手間がかかったり、リスクがあったり、方法として確実なものではないなどの問題があります。

そのため、相続人が「負動産」や借金を引き継がないようにする最善の方法は、生前に負動産や借金をなくしておくことです。スムーズな相続をするためにも、「負動産」や借金は可能な限り減らしておくことをお勧めします。

※相続放棄の相談をご希望の方はこちらのページをご覧ください。

【記事監修者】

白土文也法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや)  
第二東京弁護士会所属  中央大学法学部法律学科卒業

当事務所が最も注力する分野は遺産相続問題です。
遺産分割、遺留分侵害額請求、相続放棄、遺言書作成、家族信託、事業承継など遺産相続に関わる問題全般に対応しております。
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