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Q. 遺産分割調停の管轄裁判所はどこ?相手方が複数人の場合は?

更新日:2023年3月28日

遺産分割調停をしたいと思っても、どこに申立てをすればよいのか分からないとお困りの方もいると思います。この記事では、そのような方へ向けて、遺産分割調停や審判の管轄裁判所について解説いたします。

遺産分割調停の管轄裁判所

まず、遺産分割調停の管轄裁判所について解説いたします。

家庭裁判所は、全国に50か所あり、本庁以外に、203か所の支部と、77か所の家庭裁判所出張所が設置されていますが、どの家庭裁判所に遺産分割調停を申し立ててもよいというわけではありません。遺産分割調停は、原則として、「相手方の住所地の家庭裁判所」に申し立てることが法律で定められています。自分の住所地や、被相続人の住所地の家庭裁判所ではない点に注意が必要です。

ただし、当事者間で合意がある場合には合意で定めた裁判所を管轄裁判所とすることが可能です。

なお、普段、なかなか裁判所に行く機会がない方は、「裁判所」というと公開の法廷において弁護士が言い分を主張し、判決が下される厳格な場といった印象を持たれるかもしれません。しかし、遺産分割調停は家庭に関するトラブルの調停や審判を行う「家庭裁判所」に申し立てるものです。遺産分割調停・審判は、通常の民事事件と異なり非公開の手続きで行われます。一般の方に傍聴されるといった心配はありません。

相手方が複数人の場合の遺産分割調停の管轄裁判所は?

前提として、遺産分割調停は相続人全員を相手方として申立てなければなりません。遺産分割は全員で合意して成立するものだからです。では、遺産分割調停の相手方が複数人いる場合の管轄裁判所はどこかご存知でしょうか。

実は、相手方が複数人いる場合、申立人は、いずれかの相手方の住所地を管轄する家庭裁判所の中から、遺産分割調停を申し立てる家庭裁判所を選ぶことが可能です。

東京都在住のXがABCDの4人に対し遺産分割調停を申し立てる場合を例に考えてみましょう。Aの住所地が札幌市、Bの住所地が仙台市、Cの住所地が神戸市、Dの住所地が福岡市とします。Xは、札幌家庭裁判所、仙台家庭裁判所、神戸家庭裁判所、福岡家庭裁判所の中から調停を申し立てる裁判所を選ぶことになります。

調停は、原則として裁判所に出頭しなければなりませんので、移動時間・交通費などから仙台家庭裁判所に申し立てをすることが考えられます。また、相続人全員の合意があれば、合意によって管轄裁判所を定めることも可能です。例えば、相続人全員の交通の便を考慮し、東京家庭裁判所を管轄とすることや、高齢で長距離の移動が困難な相手方がいれば、その方の住所地の家庭裁判所を管轄とする合意も可能です。

(関連記事)「Q. 遺産分割調停の呼び出し状が届きましたが、無視しても大丈夫でしょうか。家庭裁判所へ出頭できない場合の対応方法について。

遺産分割審判の管轄裁判所

ここまで遺産分割調停の管轄について解説しましたが、次に遺産分割審判の管轄裁判所について解説いたします。

そもそも、遺産分割調停は聞いたことがあっても、遺産分割審判という言葉は聞きなれないという方も多いかもしれません。遺産分割調停は当事者間の話し合いで遺産分割の内容を決めるものです。これに対し、遺産分割審判は、当事者の話し合いではなく、遺産に属する物や相続人の事情など一切の事情を考慮し、裁判所の判断で遺産を分割する手続きです。遺産分割調停において話し合いがまとまらず、調停が不成立となった場合、自動的に遺産分割審判の手続きに移行します。この場合、遺産分割調停を行った家庭裁判所がそのまま審判手続きを行うため、管轄は調停を申し立てた家庭裁判所となります。

なお、遺産分割調停を経ることなく遺産分割審判を申し立てることも可能ですが、この場合は、相続開始地の家庭裁判所が管轄となります。相続開始地とは、被相続人の最後の住所地です。もっとも、相続問題は原則として相続人間での話し合いが望ましく、調停であれば、当事者の意思に基づく柔軟な遺産分割が可能であると一般的に考えらえています。そのため、遺産分割調停を経ずに遺産分割審判の申立てをした場合、裁判所の判断により、まずは遺産分割調停が行われることがほとんどです。遺産分割審判についても当事者間の合意で管轄裁判所を定めることが可能です。

遠方の家庭裁判所が管轄の場合

管轄の裁判所が遠方である場合には、調停のたびに出頭することは相続人にとって負担が大きく、手続きが困難となることも考えられます。そこで、電話会議システムという方法を使って遺産分割手続きを進められる場合があります。

電話会議システムとは、管轄裁判所に出頭することなく、電話で手続きを行う方法です。電話会議システムを利用したいと考えた場合、裁判所に調停を申し立てる際に電話会議を利用する必要性を示さなければなりません。裁判所が電話会議システムを許可した場合に限り、電話会議システムを利用することができます。この場合でも、自宅の電話を利用することはできず、最寄りの裁判所に出頭し、裁判所の電話会議システムを利用して行います。

なお、弁護士に依頼した場合は、弁護士は法律事務所から電話により調停に参加することが出来るので、依頼者は最寄りの裁判所まで出頭することなく調停手続きを進めることが可能です。

ウェブ(web)会議による遺産分割調停

令和3年12月から、東京・大阪・名古屋・福岡の家庭裁判所でウェブ(web)会議が導入されています。ウェブ会議とは、カメラ付きパソコンを利用してオンラインで遺産分割調停を進めるものです。上記の電話会議システムとは異なり、表情を確認しながら話し合いを進めることができるというメリットがあります。なお、ウェブ会議を利用するためには代理人弁護士に依頼する必要があります。

遺産分割調停・審判の管轄裁判所に関するまとめ

以上、遺産分割調停・審判の管轄裁判所と、遠方の裁判所が管轄だった場合の対応策について解説いたしました。管轄裁判所の問題は、遺産分割調停・審判を進める上で極めて重要な問題です。自分で判断できない場合は、弁護士に相談することをお勧めいたします。

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【記事監修者】

白土文也法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや)  
第二東京弁護士会所属  中央大学法学部法律学科卒業

当事務所が最も注力する分野は遺産相続問題です。
遺産分割、遺留分侵害額請求、相続放棄、遺言書作成、家族信託、事業承継など遺産相続に関わる問題全般に対応しております。
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