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Q. 遺言書がある場合の遺産分割協議

2023年12月28日更新

遺言書はあるものの遺産分割協議が必要な場合や、遺言書はあるが遺言書どおりに相続をすると困る(相続税が支払えないなど)という場合もあると思います。この記事では相続人が妻と長男のケースを想定した上で、遺言書がどういった内容であれば遺産分割協議が必要になるのか、また、遺言書と異なる内容の遺産分割協議の可否や注意点について解説します。

この記事の内容

  • 遺言書がある場合に、遺産分割協議が必要かどうか
  • 遺言書と異なる遺産分割協議の可否や注意点

遺言書ですべての遺産の処分が定められている場合

遺言書の効力が発生した時点で遺言の内容に従って遺産が承継されるため、遺産分割協議は不要です。遺言書を使って不動産の登記や銀行口座の名義変更といった相続手続きをすることができます。

遺言書ですべての遺産の処分を定めている条項例は以下の通りです。

第〇条 遺言者は、遺言者の有する下記不動産及び同不動産内に存する一切の動産を遺言者の妻〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
                     記
(1) 土地
    所在 〇〇
    地番 〇〇
    地目 〇〇
    地積 〇〇.〇〇㎡

(2) 建物 〇〇
    所在 〇〇
    家屋番号 〇〇
    種類 〇〇
    構造 〇〇
    床面積 1階 〇〇.〇〇㎡
        2階 〇〇.〇〇㎡

第〇条 遺言者は、遺言者の有する下記口座の預金を遺言者の長男〇〇(平成〇年〇月〇日生)に相続させる。
                     記
    〇〇銀行 〇〇支店 普通預金口座
    口座番号 〇〇〇〇〇〇〇
    口座名義 〇〇

第〇条 遺言者は、前条までに記載した財産以外の遺言者の有する一切の財産を遺言者の妻〇〇に相続させる。

遺言書で処分が定められていない遺産がある場合

遺言書で処分が定められておらず、かつ、遺産分割の対象となる財産について遺産分割協議が必要です。

なお、特定財産承継遺言(遺産分割の方法の指定として特定の遺産を特定の相続人に承継させる旨の遺言、いわゆる「相続させる旨の遺言」)により、遺産総額に対する法定相続分を上回る価額の遺産を取得する相続人がいる場合、相続分の指定を含むと考えられています。遺産分割協議をする際には、誰にどの程度相続分があるかが問題になるため注意が必要です。

例えば、土地Aを妻に相続させる旨の遺言があり、土地Aが遺産総額の3分の2の価額だった場合、この遺言の意味は、妻の相続分を3分の2とし、土地Aを妻に承継させるというものになります。逆に、価額が法定相続分を下回る場合には、法定相続分を下回る相続分の指定を含むとは考えられていません。土地Aの価額が遺産総額の4分の1だった場合、遺言の意味は、土地Aを妻に承継させるというものになり、妻の法定相続分(2分の1)に不足する残りの4分の1を他の財産から相続することが可能です。

遺言書により相続分の指定だけがされていた場合

指定された相続分に基づく遺産分割協議が必要です。例えば、妻の相続分を3分の2とする旨の遺言があった場合、基本的には遺産分割協議で妻に3分の2、長男に3分の1ずつ遺産を分配することになります。

遺言書と異なる内容の遺産分割協議は可能か?

(1) 原則として遺言書と異なる内容の遺産分割協議は可能

遺言書と異なる内容の遺産分割協議は可能です。ただし、遺言執行者がいる場合、遺言の執行を妨げる遺産分割協議は無効です。裁判例上、遺言の執行を妨げない遺産分割協議は遺言執行者の同意がなくても有効ですが、実務上は遺言執行者の同意を得て遺言書と異なる内容の遺産分割協議を行うのが一般的です。

また、相続人ではない受遺者(遺贈を受ける人)がいる場合、受遺者が遺贈を放棄することで、遺言書と異なる遺産分割協議が可能と考えられています。ただし、遺贈を放棄した相続人ではない受遺者は遺産分割協議に参加できません。そのため、遺言書と異なる内容の遺産分割協議をした上で相続人ではない受遺者が遺産を取得するには、相続人が遺産を相続により取得し、相続人ではない受遺者に贈与する必要があり、相続税と贈与税が二重に課税される可能性があります。

(2) 遺言書の存在や内容を認識していない相続人がいる場合

遺言書の存在や内容を認識していれば遺産分割協議をしなかった、遺産分割協議は錯誤により無効であるという主張をされるリスクがあります。遺言書と異なる内容の遺産分割協議をする際も、遺言書の存在や内容を共同相続人に明らかにする必要があります。

(3) 税金

遺言書と異なる内容の遺産分割協議をした場合、相続人のみの場合は遺言書ではなく遺産分割協議の内容に基づき相続税が課税されることになります。他方、相続人ではない受遺者がいる場合に、相続税と贈与税が二重に課税される可能性があります。

遺言書と異なる内容の遺産分割協議をすると様々な税務上の問題が生じる可能性があります。税理士や税務署に確認しながら進める必要性が特に高いといえます。

遺言書がある場合に遺産分割調停を申立てることは可能か?

遺言書で処分が決まっている遺産については遺言に従って財産が承継されているため、遺産分割調停を利用することはできません。調停の申立てをした後に遺言書があることが判明した場合は、調停を取り下げることになります。取り下げない場合には、調停委員会により、調停をしない措置がされます。
遺言書と異なる遺産分割について調停で協議したい場合には、遺産分割調停ではなく、遺産に関する紛争調整調停を申し立てることになります。

※遺言書の作成に関するご相談はこちらのページをご覧ください。
※遺産分割に関するご相談はこちらのページをご覧ください。

【記事監修者】

白土文也法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや)  
第二東京弁護士会所属  中央大学法学部法律学科卒業

当事務所が最も注力する分野は遺産相続問題です。
遺産分割、遺留分侵害額請求、相続放棄、遺言書作成、家族信託、事業承継など遺産相続に関わる問題全般に対応しております。
相談件数の半分以上を相続問題が占めており、所属弁護士5名全員が、日々、相続に関して研鑽を積んでおります。是非、ご相談ください。  
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