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Q. 【具体例】特別受益と生前贈与の違いとは?遺産分割や遺留分の特別受益や持ち戻しについて解説

2025年4月25日更新

相続・遺言

【記事監修者】

弁護士法人しらと総合法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや)  
第二東京弁護士会所属  中央大学法学部法律学科卒業

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・相続弁護士基礎講座(弁護士向けセミナー)講師(レガシィクラウド動画配信)
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【この記事の内容】

・すべての生前贈与が特別受益にあたる訳ではない
・特別受益(生前贈与)の具体例

遺産分割手続きでは持戻し免除の意思表示も問題となる。

兄弟姉妹の中に、親から多額の生前贈与を受けたり、親の土地を無償で使用していたり、多額の生命保険金を受け取った方がいると、不公平に感じる方もいらっしゃると思います。このような受益が民法上の特別受益にあたる場合には、遺産相続の際に考慮されることになります。この記事では民法上の特別受益について具体例を挙げながら解説いたします。

※判例又は弁護士の見解を示すものですので、個別具体的な事案において異なる判断がされる可能性があることにご留意ください。

すべての生前贈与が特別受益にあたる訳ではない

特別受益とは、以下の3つに該当するものを指します。

  • 相続人に対する遺贈
  • 相続人に対する遺産の前渡しと評価できる生計の資本としての贈与
  • 相続人に対する遺産の前渡しと評価できる婚姻もしくは養子縁組のための贈与

遺産の前渡しと評価できるか否かという点が、生前贈与が特別受益に該当するのかの判断基準になります。なお、生前贈与だけでなく、特定の遺産を相続人に相続させる遺言(特定財産承継遺言)も特別受益に準じるものとして扱われます。

特別受益が考慮される場面

特別受益は、①遺産分割手続きや、②遺留分で考慮されます。例えば、特別受益にあたる生前贈与を受けている相続人がいる場合、その相続人は遺産分割手続きにおける取り分が少なくなる一方、他の相続人の取り分が多くなることがあります。また、遺留分侵害額請求を受ける相続人に特別受益にあたる生前贈与がされていた場合、相続財産のみで算定した場合よりも請求可能な遺留分侵害額が大きくなることがあります。

具体的な考慮方法については下記記事をご覧ください。

(関連記事)「Q. 特別受益の持ち戻しとは? 相続において特別受益がある場合の遺産の取得額の計算方法について解説
(関連記事)「Q.相続における遺留分侵害額の計算方法とは?

特別受益(生前贈与)の具体例

生前贈与が特別受益にあたるには、その生前贈与が遺産の前渡しと評価できるものである必要があります。遺産の前渡しと評価できるか否かは、贈与の目的、支出当時の被相続人の資産・収入、家庭事情といった個別事情を考慮して判断されます。以下では、生前贈与の目的ごとに整理して解説いたします。

(1)住宅購入資金や不動産の贈与

住宅購入資金の贈与や不動産の贈与は、遺産の前渡しと評価できる生計の資本としての贈与の典型例であり、基本的には特別受益にあたります。ただし、看護、介護をするために被相続人と同居するといった負担が付いている古家の贈与について、特別受益にあたらないと判断した裁判例(東京地裁令和2年8月24日判決)もあります。

(2)建物に無償で居住

例えば、親の建物に子が無償で住んでいたということは珍しくありません。このような場合には、原則として特別受益にあたらないと考えられています。建物に無償で居住することについて特別受益にあたらないと判断した裁判例をご紹介します。

東京地裁平成31年2月28日判決

約35年間、親の建物に子が無償で居住していたことについて、特別受益にあたらないと判断した事例です。この事例では以下のような事情が考慮されました。

  • 建物を建築した経緯に照らせば、兄弟3人が建物に居住することが被相続人の意思に沿うものであったこと
  • 建物の使用借権は、土地の使用借権に比べて経済的価値が乏しいこと
  • 兄弟3人は認知症を発症した被相続人の身の回りの世話を分担して行っていること


建物に無償で居住することについては原則として特別受益にあたらないと考えられていますが、裁判例は個別の事情を考慮した上で判断していることに注意が必要です。

(3)土地の無償利用

相続人が被相続人から土地を無償で借りて建物を建てるケースも珍しくありません。このような場合、被相続人と相続人の間に使用貸借契約(賃貸借契約とは異なり、無償で物を使用収益する契約)が存在することになり、土地の使用貸借権が特別受益にあたります。実務上、建物が木造・軽量鉄骨の場合は土地更地価格の1割程度、建物が重量鉄骨・コンクリート造の場合は土地更地価格の2割程度が特別受益と算定されることが多いです。

例えば、東京地裁平成15年11月17日判決は、建物が軽量鉄骨造スレート葺2階建共同住宅の事例であり、土地の使用貸借権の価格は更地価格の15%と判断しています。

なお、同判決は、使用期間中の使用による利益は使用貸借権の価格の中に織り込まれていると見るのが相当であり、使用貸借権のほかに更に使用料まで加算することには疑問があるとして、使用期間中の賃料相当額を加算することを否定しています。

(4)生命保険金(死亡保険金)

生命保険金は、被相続人と生命保険会社が第三者(相続人)のためにした契約に基づき、受取人である相続人が固有の権利により受け取るものです。生前贈与により取得するものではないため、特別受益には該当しません。ただし、例外的に生命保険金が特別受益に準じて持ち戻しの対象となる場合もあります。詳細については下記記事をご覧ください。

(関連記事)「Q. 【裁判例の紹介】生命保険金(死亡保険金)は遺産分割の特別受益に該当するのか?独り占めされていた場合の対応策とは?

(5)死亡退職金

死亡退職金については、生命保険金(死亡保険金)のように最高裁判例はなく、様々な見解が主張されていますが、生命保険金と同様に判断した裁判例(東京地裁平成25年10月28日)があり、その控訴審(東京高裁平成26年3月19日判決)でも東京地裁の判断が是認されており、実務上参考になります。

(6)継続的な金銭援助

継続的な金銭援助について裁判所が判断した事例をご紹介いたします。

東京家庭裁判所平成21年1月30日審判

親から子への継続的な送金のうち、一月10万円を超える送金について、特別受益にあたると判断した事例です。

【この事例のポイント】

  • 一月10万円を超える場合には、一月10万円を超える部分ではなく、その月の送金全体が特別受益にあたると判断しています。
  • 遺産総額や被相続人の収入状況を指摘した上で、一月に10万円を超える送金を特別受益と判断しています。

東京地裁令和元年5月31日判決

約4年間で計490万円の電気料金、ガス料金、水道料金、NHK料金の支払いについて、特別受益にあたらないと判断した事例です。この事例では以下のような事情が考慮されました。

  • 被相続人の自宅で、被相続人と受益者が長年同居していた。
  • 被相続人が施設に入所する前から、被相続人が負担していた。
  • 月々の料金額や合計額は遺産総額(約8億8500万円)と比して多額とまではいえない。

東京地裁令和3年9月13日判決

1年以上にわたり、生活費として月額20万円から30万円の贈与を受けており、少なくとも240万円の贈与を受けたことについて、扶養義務の範囲における生活費の負担とみることもできるとして、特別受益にあたらないと判断した事例です。この事例では以下のような事情が考慮されました。

  • 被相続人と受益者は養親子関係にあり、相互扶助義務を負う関係にある
  • 贈与当時の受益者の生活状況は必ずしも明らかではない
  • 扶養義務の範囲を超える過大な金銭授受がなされたとまで認める事情もない。

東京地裁令和2年8月24日判決

約5年2か月の期間にわたり、学費や生活資金の援助として合計約345万円の送金を受けたことについて、特別受益にあたると判断した事例です。この事例では以下のような事情が考慮されました。

  • 援助当時の受益者は30代半ばで、既に婚姻し被相続人とは世帯が別であり、未成年者等への通常の学費の援助と同視することはできない。親の子に対する扶養義務の履行とはいえない。
  • 他の兄弟との均衡上特別受益として考慮すべきでないともいえない

まとめ

東京家庭裁判所平成21年1月30日審判が示した月10万円という数字はわかりやすい目安にはなります。しかし、東京地判令和3年9月13日判決は、月額20万円から30万円の生活費の贈与について特別受益を否定しています。また、東京地裁令和2年8月24日判決は、ひと月あたりの額では約5万5000円の事例ですが、特別受益にあたると判断しています。繰り返しになりますが、特別受益の判断には個別事情の考慮が必要です。

(7)保険料

保険料について裁判所が判断した事例をご紹介いたします。

東京家庭裁判所平成21年1月30日審判

合計100万円の国民年金保険料・国民健康保険料について、一月あたり15000円程度で、親族間(親子)の扶養的な金銭援助にとどまるとし、特別受益にあたらないと判断しました。

名古屋家庭裁判所平成31年1月11日審判

この審判例は、留学期間中に親に立て替えてもらっていた国民年金保険料と、生命保険料について特別受益にあたると判断しました。この裁判例が指摘した個別の事情は以下の通りです。

  • 国民年金保険料は、本来的に自らの負担により支払うべき性質のものであり、それを本人より高齢の親が立替払いすることが直ちに扶養義務の範囲内であるとは認め難い。
  • 本件の生命保険は終身保険で、相当額の満期保険金が下り、積立配当金もつくものであり、中途解約すれば解約返戻金が出ることも通常であることから、貯蓄性が高いものであり、その生命保険料の立替払いについても、ただちに扶養の範囲内のものであるとは認めがたい
  • 留学期間中に上記費用の全額を支払うだけの収入を現に得ていなかったとしても、ある程度の資力があったと自認する上、既に高い学歴を身に付けるなどした立派な成人として潜在的な負担能力を十分に有していたとはいえる。

国民年金保険料について判断が分かれているのは、個別の事情が異なるからだと考えられます。例えば、名古屋家庭裁判所の事例は、東京家庭裁判所の事例と比べて、国民年金保険料の合計額が大きく、遺産総額が少ないため、特別受益と認めなかった③と比べると、特別受益を認めやすい事情もあります。また、名古屋家庭裁判所の事例はいわゆる貯蓄型の生命保険料について判断しており、掛捨ての生命保険料であれば判断が変わる可能性もあることに注意が必要です。

(8)お祝い金

お祝い金について裁判所が判断した事例をご紹介いたします。

東京家庭裁判所平成30年9月7日審判

孫が生まれたお祝い金について特別受益にあたると判断し、遺産分割を行った事例です。この事例では以下のような事情が考慮されました。

  • お祝い金は、支出当時に被相続人の資産、社会的地位や当時の社会状況等に照らし、親としての通常の扶養義務に入ると評価される場合を除き、特別受益にあたる。
  • 昭和51年当時の200万円は被相続人の資産、親子関係等を考慮しても高額
  • もうひとりの子にはお祝い金が送られていない

もっとも、この審判例は、被相続人の孫の誕生を祝う心情と被相続人の資産等を考慮した上で100万円の限度で持ち戻し免除の意思を推認できると判断しています。そのため、遺産分割においては200万円の生前贈与ではなく、100万円の生前贈与を受けたものとして考慮されています。持ち戻し免除の意思表示については、後ほど解説します。

(9)結婚式・結納式・披露宴といった挙式費用

結婚式・結納式・披露宴そのものの費用について裁判所が判断した事例をご紹介いたします。

名古屋地裁平成16年11月5日

結婚式・結納式そのものに生じた費用は、婚姻する者だけでなくその両親や親戚一同にとって重要な儀式であることを考えると婚姻のための贈与と評価すべきではなく、特別受益にあたらないと判断した事例です。

京都地裁平成10年9月11日判決

結婚式・披露宴の費用は、親の世間に対する社交場の出費としての性質が強く、特別受益に含まれる婚姻のための贈与にあたらないと判断した事例です。

紹介した事例によれば、結婚式・結納式・披露宴そのものの費用は、一般的には特別受益にあたらないと考えられます。

(10)結納金

結納金については、結納金の風習は、元来、夫となる者の親が妻となる者の親に対して支度金として交付する性質のものといわれており、本件の結納金の趣旨がこれと異なるものであるという特別の事情はうかがわれず、上記結納金が遺産の前渡しといえるだけの贈与とは認められないと判断した事例(名古屋家庭裁判所平成31年1月1日審判)が参考になります。

(11)学資

大学以降の学資について裁判所が判断した事例を紹介いたします。

京都地裁平成10年9月11日判決

医学教育の学資について、特別受益にあたらないと判断した事例です。この事例では以下のような事情が考慮されました。

  • 扶養義務の範囲を超えた不相当な学資のみが特別受益
  • 扶養義務の範囲は親の資産、社会的地位等を基準に判断する
  • 長男のみが医学教育を受けているとはいえ、長女、次女も大学教育を受けている
  • 被相続人は開業医であり、長男に家業の承継を望んでいた
  • これらの事実のほか、被相続人の生前の資産収入および家庭環境に照らせば、子らの学資は相続財産に加算すべきではない。

東京地裁令和2年9月17日判決

親の子に対する学費や生活費の負担について、特別受益にあたらないと判断した事例です。この事例では以下のような事情が考慮されました。

  • 親の子に対する生活費や学費の負担は、基本的に親として負う扶養義務の範囲内といえるものであり、そのような趣旨の金銭の授受が遺産の先渡しの性質を有するとはいい難い
  • 本件において、扶養義務の範囲を超える過大な金銭の授受が原告らと被相続人との間でなされたと窺われるような事情も特に見当たらない。

旭川家裁平成14年2月15日審判

親の子に対する学費や生活費の負担について、特別受益にあたると判断した事例です。この事例では以下のような事情が考慮されました。

  • 二男が昭和40年4月に大学に進学し、昭和44年3月に卒業した
  • 二男の入学金・授業料・下宿代を含む生活費について両親が負担した
  • 四女は中学を卒業した後、家業の農業に従事していた
  • 四女は受益者の大学生時代に、両親から二男への仕送りが大変なので援助して欲しいと頼まれ被相続人に対し実家への援助として、当時の給料収入月額1万9800円のうち1万円を渡していた

東京地裁令和2年8月24日判決

鍼灸専門学校の学費や生活費の贈与について、特別受益にあたると判断した事例です。この事例では以下のような事情が考慮されました。

  • 援助同時の受益者は30代半ばで、既に婚姻し被相続人とは世帯が別であり、未成年者等への通常の学費の援助と同視することはできない。親の子に対する扶養義務の履行とはいえない。
  • 他の兄弟との均衡上特別受益として考慮すべきでないともいえない。

紹介した裁判例によれば、親の子に対する学費や生活費の負担は基本的には扶養義務の範囲内といえ、特別受益にあたりません。しかし、旭川家庭裁判所の事例のような例外的なケースや、親から学費を援助してもらうような状況ではないケースでは特別受益にあたる場合があるということになります。

相続人以外の者に対する生前贈与も例外的に特別受益にあたることがある

特別受益は相続人間の公平を図るために特別受益を遺産分割や遺留分において考慮する制度であり、前提として相続人に対する遺贈や生前贈与である必要があります。もっとも、相続人以外の者に対する遺贈や生前贈与でも、実質的に相続人に対するものと認められるような場合には例外的に特別受益として考慮することができます。

相続人になる前の生前贈与も例外的に特別受益にあたることがある。

生前贈与がされた時点で相続人ではなかったものの、生前贈与がされたあとに養子縁組をして、相続人となったような場合はどうなるでしょうか。

この場合も、生前贈与がされた時点で相続人ではない以上、相続人に対する生前贈与とはいえず、原則として特別受益にあたりません。もっとも、縁組が行われた経緯や受益の目的等を考慮して、他の相続人との実質的な公平に欠けるような場合には例外的に特別受益として考慮することができます。

遺産分割手続きでは持戻し免除の意思表示も問題となる。

持戻し免除の意思表示とは特別受益を遺産分割手続きでは考慮しないという被相続人の意思のことです。持戻し免除の意思表示が認められると、遺産分割手続きでは被相続人の意思が尊重され、持戻し免除の意思表示の対象となった特別受益が考慮されなくなります。

遺言書等で持戻し免除の意思表示が明示されていないケースでは、個別の事情を考慮して、持戻し免除の意思表示の有無や内容について判断されることになります。また、遺言書で持戻し免除の意思表示が明示されていても、どの範囲で持戻し免除をするものなのかが不明確なこともあります。このような場合にも個別の事情を考慮して、持戻し免除の意思表示の内容が判断されることになります。

持戻し免除の意思表示が書面で明確になっていない場合には、持戻し免除の意思表示の有無や内容について争いになるリスクがあります。家族でトラブルになるリスクを回避するためには、遺言書等で個々の特別受益を遺産分割で考慮することにするのか、考慮しないことにするのかを明確にしておくといった対策が考えられます。特に、偽造や意思能力の有無が問題になりにくい公正証書遺言がおすすめです。

遺留分侵害額請求においては持戻し免除の意思表示が問題にならない。

遺留分制度は、最低限の取り分を確保するための制度であり、遺留分侵害額請求では、持戻し免除の意思表示があっても特別受益が考慮されることになります。このように、遺産分割手続きと遺留分侵害額請求では、持戻し免除の意思表示があった場合の処理が異なるため注意が必要です。なお、相続法改正により、遺留分の計算において持ち戻しの対象となる特別受益は、原則として相続開始前10年以内のものに限定されたことにも注意が必要です。

客観的証拠がなく立証が難しいケースも

贈与者である被相続人は既に亡くなっていることもあり、特別受益にあたる事実に関する客観的証拠がない場合には贈与の事実を立証することが困難です。また、客観的証拠がある場合でも、その証拠が証明する事実や範囲を正確に判断するには、専門的な知識が必要です。例えば、生前に引き出されている被相続人の預貯金の金額まで判明したものの、その預貯金を誰がどう使ったのかについては客観的証拠がないといったケースは少なくありません。特別受益については、立証可能性等を十分に検討する必要があります。

まとめ

以上、特別受益の具体例について解説いたしました。実際に生前贈与が特別受益にあたるか判断するには、様々な個別事情を考慮する必要があり専門的な判断が必要になります。また、客観的証拠がない場合には、立証が困難になる上、客観的な証拠がある場合でもその証拠の評価は専門的な判断にならざるを得ません。特別受益については専門家の判断が必要になることが特に多くなります。生前贈与が特別受益にあたり、遺産分割手続きや遺留分で考慮されるのではないかとお悩みの方は弁護士にご相談ください。

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争いが生じた後に弁護士に相談するのではなく、争いにならないように、また、手続きだけで済むように弁護士に相談してください。

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