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Q. 孫への遺産相続の方法と注意点について解説

2024年11月15日更新

相続問題

【記事監修者】

弁護士法人しらと総合法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや)  
第二東京弁護士会所属  中央大学法学部法律学科卒業

【代表弁護士白土文也の活動実績】
・相続弁護士基礎講座(弁護士向けセミナー)講師(レガシィクラウド動画配信)
・ベンナビ相続主催「相続生前対策オンラインセミナー」講師
・弁護士ドットコム主催「遺産相続に関する弁護士向けセミナー」登壇
その他、取材・講演多数
  
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【この記事の内容】

・孫へ財産を承継させるメリット
・孫へ財産を承継させる方法や注意点


遺産を孫に残したいという方は多いと思います。しかし、原則として孫は相続人ではなく、特に対策をしなかった場合、遺産を孫に直接承継させることはできません。また、遺産を孫に直接承継させた場合には特有の注意点もあります。そこで、この記事では孫に遺産を承継させる方法や注意点などについて解説いたします。

孫へ財産を承継させるメリット

孫に早いタイミングで財産を遺せる

特に対策しなかった場合、親の財産は親から子、子から孫に承継されるため、孫に財産が承継されるのは、子が死亡し孫が子の相続をしたタイミングになります。生前に孫に財産を承継させることで、相続と比べ早いタイミングで孫に財産を渡すことが可能となります。

孫に確実に財産を遺せる

特に対策しなかった場合、親の財産は親から子、子から孫に承継されるため、子が親から承継した財産を使ってしまうと孫にはほとんど財産を遺せない可能性もあります。孫に直接財産を承継させることで、孫に確実に財産を渡すことが可能になります。

子の世代の相続税の課税をスキップできる

特に対策しなかった場合、親の財産は親から子、子から孫に承継されるため、子の世代と孫の世代でそれぞれ相続税が課税されます。孫に財産を承継させることで、子の世代の相続税の課税をスキップすることができます。

孫は基本的には相続人にならない

孫は基本的には相続人になりません。例外的に、子が被相続人より先に死亡した場合や、子が欠格や廃除によって相続権を失った場合には孫が子に代わって相続人になります。これを代襲相続といいますが、代襲相続について知りたい方は下記の関連記事をご確認下さい。

(関連記事)「Q. 法定相続人とは?【法定相続人の種類・範囲、血族相続人の順位について解説】

遺言書や養子縁組の方法で孫へ遺産を承継させる場合

遺言書

遺言書で孫に財産を与えることで、相続人ではない孫にも遺産を承継させることができます。

養子縁組

養子縁組をすることで養子である孫が子として相続人になるため孫に遺産相続させることができます。ただし、税法上、孫養子の扱いは複雑です。例えば、相続税の基礎控除や生命保険金の非課税枠は原則として相続人の数が増えれば増加することになりますが、養子は民法上の相続人ではあるものの、基礎控除や生命保険金の非課税枠の計算に際して制限される場合があります。

生前贈与などの方法で孫へ財産を承継させる場合

生前贈与

生前に孫に財産を贈与することで孫へ財産を承継させることができます。暦年贈与や相続時精算課税制度の他、教育資金・結婚子育て資金・住宅取得等資金の非課税制度などを利用することで節税になる場合がありますが、多くを贈与してしまうと老後の資金が足りなくなるリスクもあるため注意が必要です。

生命保険金

孫を生命保険金の受取人にして、被相続人が保険料を支払うことで、孫へ生命保険金という形で財産を承継させることができます。ただし、孫が相続人でない場合、死亡保険金の非課税枠を計算する際の相続人の数にカウントされない点には注意が必要です。

家族信託

信託とは、信頼できる人に財産を預けて管理運用してもらい、特定の人が運用益や信託終了時に預けた財産を受け取る制度です。家族のために行う信託のことを家族信託といいます。孫に運用益や信託終了時に預けた財産を受け取らせることで、孫に財産を渡すことができます。

(関連記事)「Q. 家族信託が必要ないケースとは? 必要なケースや必要のないケースについて解説

税金や遺留分侵害のトラブルに関する注意点

孫に財産を承継させる際には、特に以下のような税金や遺留分侵害のトラブルに注意する必要があります。

相続税の2割加算

孫は原則として相続税額(控除前)が2割加算されるため、孫に財産を承継させた結果、相続税が多くなってしまうリスクがあります。なお、孫が子に代わって相続人になる場合(代襲相続)は例外的に2割加算されません。

孫に財産を承継させると原則として登録免許税が高い

相続人に不動産を遺贈した場合、登録免許税は不動産の固定資産税評価額の0.4%です。一方、相続人でない孫に不動産を承継した場合、登録免許税は不動産の固定資産税評価額の2%になり、相続人に遺贈した場合と比べて登録免許税が高くなります。

孫に不動産を承継させると原則として不動産取得税が課税される

不動産が相続された場合や相続人へ遺贈された場合、相続人以外への包括遺贈(例えば財産の3分の1を遺贈するといったものです)をした場合は不動産取得税が非課税になります。他方、相続人でない孫に包括遺贈以外の方法で不動産を承継させた場合、上記非課税制度が適用されません。

相続人でない孫は死亡保険金の非課税枠が利用できない

被相続人が被保険者で、かつ、保険料を負担してきた生命保険金を相続人が受け取った場合、その相続人は相続人×500万円の非課税枠を利用できます。一方、相続人でない孫は非課税枠を利用できません。

遺留分侵害のリスク

孫に財産を承継させる場合、承継させた時期や承継させた額によっては他の相続人の遺留分を侵害し、相続争いになる可能性があります。遺留分を侵害するリスクを確認しながら孫に財産を承継させると良いでしょう。

(関連記事)「Q. 相続における遺留分侵害額の計算方法とは?
(関連記事)「Q. 遺留分を渡さなくていい方法?遺留分対策について8つの具体的方法を弁護士が解説

遺産分割において特別受益を巡った争いになるリスク

孫に生前贈与をした場合、実質的には孫の親の特別受益であるとして、遺産分割において特別受益を巡った争いになるリスクがあります。孫は相続人ではないため原則として特別受益には該当しないというのが実務ですが、注意する必要があります。

養子縁組によるトラブルのリスク

養子縁組をすることで孫が相続人になるため、他の相続人からすると相続できるはずだった相続財産が減ることになります。他の相続人の理解を得ないまま養子縁組をするとトラブルになるリスクがあります。また、税法上孫養子の扱いが複雑なため、思わぬ課税を受けるリスクもあります。

以上、孫への遺産相続について解説いたしました。うまく活用すればメリットも大きいものの、安易に進めるとトラブルの原因になるため、注意が必要です。孫へ財産を遺したい方は、弁護士にご相談ください。

【しらと総合法律事務所の特徴】

相続に関する豊富な実績
しらと総合法律事務所では、相続に関する新規のご相談をほぼ毎日受けており、また、各弁護士が担当した案件について事例の共有を行うことで、事務所内での知識の蓄積と共有も行っております。その他、外部の弁護士も参加する週1回の事務所内勉強会の開催や、弁護士向けの相続セミナー講師、一般の方向けの相続セミナー講師などの様々な活動を通して、日々研鑽を積んでおります。
他の事務所で対応できないと言われた案件についても、当事務所において解決できた実績がありますので、是非あきらめずに当事務所にご相談下さい。代表弁護士の下、複数の弁護士でチームを組んで相続問題の解決に努めております。

幅広い業務範囲
開業以来10年間、遺産分割・遺留分侵害・預金の使い込みなどの相続トラブルはもちろん、相続放棄などの相続手続き代行や、遺言書作成・家族信託・事業承継などの生前の相続対策まで幅広い相続問題をサポートして参りました。
争いが生じた後に弁護士に相談するのではなく、争いにならないように、また、手続きだけで済むように弁護士に相談してください。

「ワンストップ」によるサービスの提供
相続問題は、法律問題以外も、税務・登記などの問題も絡み、弁護士以外の専門家に相談すべきケースも多くあります。しらと総合法律事務所では、協力関係にある税理士・司法書士等の専門家と連携し、ワンストップでご相談できるようサポートしております。お客様からご希望があれば税理士などの専門家をご紹介いたしますので、基本的に、お客様が自ら税理士や司法書士を探す必要はございません。必要に応じて当事務所での面談も可能です。

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