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Q. 特別縁故者に該当する具体例とは?特別縁故者への財産分与に頼らない生前対策についても解説
2025年4月17日更新

【記事監修者】 ![]() 弁護士法人しらと総合法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや) 第二東京弁護士会所属 中央大学法学部法律学科卒業 【代表弁護士白土文也の活動実績】 ・相続弁護士基礎講座(弁護士向けセミナー)講師(レガシィクラウド動画配信) ・ベンナビ相続主催「相続生前対策オンラインセミナー」講師 ・弁護士ドットコム主催「遺産相続に関する弁護士向けセミナー」登壇 その他、取材・講演多数 弁護士のプロフィールはこちら |
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【この記事の内容】 ・特別縁故者が相続財産の分与を受けるまでの手続き ・特別縁故者とは ・特別縁故者に関する裁判例 |
亡くなった方に相続人がおらず、遺言書の作成などもしていなかった場合、亡くなった方と親しかった方は、特別縁故者への相続財産分与を申し立てることで、相続財産を受け取れる可能性があります。ただし、相続財産の分与を受けるまでの手続きにコストや手間がかかります。また、特別縁故者として認められるのかどうかの判断は簡単ではありません。この記事では、特別縁故者が相続財産の分与を受けるまでの手続きについて簡単に解説した上で、特別縁故者に該当する具体例や生前対策などについて解説いたします。
特別縁故者が相続財産の分与を受けるまでの手続き
特別縁故者が相続財産の分与を受けるまでの手続きの大まかな流れは、以下のとおりです。
- 家庭裁判所に相続財産清算人の選任申立て
前提として相続人がいない場合の手続きを進める必要があります。 - 相続人がいない場合の手続きにおいて、相続人がいないことや、相続財産を清算した後に相続財産が残っていることを確認
相続人がいる場合や、清算後に相続財産が残らない場合には、特別縁故者への相続財産の分与の申立てはできません。 - 家庭裁判所に特別縁故者への相続財産の分与の申立て
- 家庭裁判所が特別縁故者と認めた場合には分与がなされる
相続人がいない場合の手続きについて詳しく知りたい方は、下記の関連記事をご確認ください。
特別縁故者とは
特別縁故者は民法958条の2第1項において「被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者」と定められていますが、これだけでは特別縁故者を具体的にイメージすることは難しいため、以下では、裁判所が判断した具体例について解説いたします。
「被相続人と生計を同じくしていた者」の事例
相続人の場合には、特別縁故者としてではなく、相続人として遺産を承継することになるため、「被相続人と生計を同じくしていた者」として特別縁故者と認められるのは、相続人ではないけれども、被相続人と生計を共にしていたことがある方ということになります。
「被相続人と生計を同じくしていた者」として特別縁故者と認められた例としては、内縁配偶者として被相続人と生計を共にしていた例(山口家庭裁判所昭和49年12月27日審判)や、事実上の養子として被相続人と共同生活をしていた例(大阪家庭裁判所昭和40年3月11日審判)などがあります。また、商売に失敗し頼ってきた被相続人を自宅に住まわせて一時生計をともにし面倒をみていたほか、以来一貫して、通常の親族の相互扶助の程度を超えた援助・協力をしてきた叔母を特別縁故者と認めた例(東京高裁平成元年8月10日決定)もあります。
「被相続人の療養看護に努めた者」の事例
「被相続人の療養看護に努めた者」として特別縁故者と認められるのは、相続人ではなく、被相続人と生計を共にしていた訳でもないが、立場以上の療養看護を行っていた方になります。
例えば、被相続人の高校入学の際に引き取って自宅で同居させ、被相続人が死亡するまでの約11年間、実子と同様に監護養育し、被相続人が病気になってからも、療養看護に努めるなどしていた叔母を特別縁故者と認めた例(京都家庭裁判所昭和42年8月18日審判)や、被相続人から得ていた報酬以上に被相続人の看護に尽力していた看護師を特別縁故者と認めた例(神戸家庭裁判所昭和51年4月24日審判)などがあります。
「その他被相続人と特別の縁故があった者」の事例
「その他被相続人と特別の縁故があった者」とは、「生計同一者,療養看護者に準ずる程度に被相続人との間に具体的かつ現実的な交渉があり,相続財産の全部又は一部をその者に分与することが被相続人の意思に合致するであろうとみられる程度に被相続人と密接な関係があつた者」と考えられています(東京家庭裁判所昭和60年11月19日審判)。
例えば、早くに実父を亡くした被相続人の父親代わりの役目を果たしてきた者であり、相続財産の主要部分をなす土地建物の購入について多大な尽力をした上、独り暮らしを続けていた被相続人の身を案じて再三縁談を勧めるなどしていた従兄弟を特別縁故者と認めた一方で、従兄弟の子については、親族として世間一般に通常見られる程度の関係しかなかったとして特別縁故者と認めなかった例(上記審判例)や、被相続人が従兄弟の子と極めて親しく親戚付き合いをして、何かと相談事等を持ち掛けて世話して貰い、亡くなったあとのことを託していたところ、従兄弟の子も葬儀や法要等の祭祀を行い、墓守もしていたことなどから、従兄弟の子を特別縁故者と認めた例(大阪高等裁判所平成5年3月15日)があります。
特別縁故者と認められても、相続財産すべての分与が認められるとは限らない
なお、特別縁故者と認められても、その関係の深さによっては相続財産すべてが分与されるとは限りません。
例えば、東京家庭裁判所令和2年6月26日審判では、被相続人との関係が通常の親族としての交際の範囲にとどまるものとはいえないとして、従兄弟が特別縁故者と認められました。しかし、被相続人の財産増殖に何らかの寄与をしたとか、被相続人の心情面において強い支えとなるべき心理的援助を惜しまなかったなどといった明確かつ具体的な関わりは存在しないとして、相続財産全体の構成に比して、少額の割合の金銭の分与にとどめられています。
また、特別縁故者が複数存在する場合には、それぞれの具体的・実質的な縁故の濃淡を中心にしてその程度に応じた分与をすべきとして、特別縁故者の一人に7、もうひとりに3の割合で分与した例(広島高等裁判所平成15年3月28日)もあります。
遺言書などの生前対策が重要
親しかった方が特別縁故者として財産分与を受けようとした場合、相続財産の分与を受けるまでの手続きにコストや手間がかかります。また、生前親しかったからといって、特別縁故者と認められるとは限らず、相続財産すべての分与が認められるとも限りません。
親しい方にコストや手間をかけさせたくない、または確実に財産を承継させたい場合には、特別縁故者としての財産分与に頼らずに財産を承継できるように生前の対策を講じる必要があります。生前対策としては、例えば遺言書を作成しておくことや生前贈与などが考えられます。
まとめ
以上、特別縁故者への相続財産分与について、特別縁故者に該当する具体例や生前対策を中心に解説いたしました。特別縁故者への財産分与の申立てについて詳しく知りたい方や、特別縁故者への財産分与によらずに親しい方に財産を承継させたい方は弁護士にご相談ください。
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