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Q. 遺言書を書くべき人・作成した方がいいケース、書かない場合のリスクとトラブルについて解説
2024年11月29日更新
【記事監修者】 弁護士法人しらと総合法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや) 第二東京弁護士会所属 中央大学法学部法律学科卒業 【代表弁護士白土文也の活動実績】 ・相続弁護士基礎講座(弁護士向けセミナー)講師(レガシィクラウド動画配信) ・ベンナビ相続主催「相続生前対策オンラインセミナー」講師 ・弁護士ドットコム主催「遺産相続に関する弁護士向けセミナー」登壇 その他、取材・講演多数 弁護士のプロフィールはこちら |
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【この記事の内容】 ・すべての方が遺言書を書くべき理由 ・特に遺言書を作成した方が良いケースの具体例やその理由 |
最近は終活が流行っており、遺言書を書くべきか迷っているという方もいらっしゃると思います。この記事では遺言書を書くべき人・作成した方がいいケースについてご紹介します。
実はすべての人が遺言書を書くべきである
遺言書で遺産分割の対象となる財産全ての処分を決めておくと、遺産分割協議・調停・審判といった遺産分割手続をする必要がないため、相続手続だけで済むようになります。遺産分割手続は円滑に進んだ場合でも手間や時間、費用がかかるため、遺産分割手続をせずに済むという点は相続人にとって大きなメリットです。適切な遺言書の作成は、専門家の助けが必要であり、一定のコストがかかりますが、相続人の負担を考えると費用対効果を含めて合理的な方法と言えるでしょう。
なお、遺言書の作成は法務や税務だけでなく、推定相続人らの意向を踏まえる必要があるなど検討すべきことが多岐にわたります。そのため、元気で判断能力がしっかりしている間に作成することが望ましいでしょう。
また、認知症になるなど判断能力が低下した場合、遺言書を作成することができなくなってしまいます。親の判断能力が無くなった時点で相続対策の必要性を感じて、推定相続人が弁護士に相談するケースが多いのが実情ですが、その時点では遺言書を含めてすべての相続対策はできないため、遺言書の作成は早めに検討すべきと言えるでしょう。
特に遺言書を作成した方が良いケース
遺産分割手続における相続人の負担が大きくなることが予想される場合や、遺言書がないと遺産の分け方に困難が生じることが予想される場合には遺言書を作成する必要があります。ここからは特に遺言書を作成した方が良いケースをご紹介します。
相続争いになる可能性があるケース
以下のようなケースでは相続争いになる可能性があり、遺産分割手続における相続人の負担が大きくなることが予想されます。
- 相続人が多い
相続人が多ければ多いほど遺産分割手続を円滑に進めることは難しくなります。 - 相続人同士の関係が良くない
例えば前妻との間に子どもがいるケースや、認知した子どもや婚外子がいるケースでは相続人同士の関係が良くないことが少なくありません。関係が良くない場合、遺産分割手続を円滑に進めることは難しくなります。
遺産分割手続ができない相続人がいるケース
遺産分割は当事者全員で行う必要がありますが、遺産分割ができない(またはリスクがある)相続人がいる場合、遺産分割を進めるための法的な手続きを取る必要があります。そのための手間がかかり、相続人の負担が大きくなります。具体的には以下のようなケースです。
未成年とその親権者が相続人
未成年とその親権者の利益が相反するため、親権者が未成年の代わりに遺産分割手続をすることができません。①未成年が成人するのを待つか、②特別代理人選任の申立てを行い、特別代理人が未成年の代わりに遺産分割手続に参加する必要があります。
認知症の相続人がいる
認知症で判断能力がない場合には、遺産分割手続をすることができません。判断能力がない相続人については、後見開始の審判の申立てを行い、成年後見人が遺産分割手続に参加する必要があります。
行方不明の相続人がいる
行方不明者と連絡が取れない場合、不在者財産管理人の選任申立てを行い、不在者財産管理人が遺産分割手続に参加します。又は、失踪宣告の要件を満たす場合には、失踪宣告の申立てをするなどの対処が必要です。
会社や個人事業を後継者に継がせたい(事業承継)ケース
会社の株式や個人事業の事業用資産について遺言書で処分を決めていない場合、相続が発生すると株式や事業用資産は相続人らが共有することになります。この場合、会社や事業の運営に支障が生じるリスクがあります。なお、事業承継の方法としては、遺言書の他に生前贈与や民事信託などもあります。
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不動産を巡って相続争いになることが予想されるケース
例えば、相続財産に自宅不動産が含まれる場合、自宅に同居していた相続人はその不動産を取得することを希望するのが通常です。仮に、他の相続人が自宅不動産の取得を希望したり、売却を望んでいる場合、不動産の分割方法を巡って争いになることが予想されます。このような争いを回避するためには、自宅不動産を誰に相続させるのか遺言書に明記するべきと言えるでしょう。
特定の人や法人に遺産を遺したいケース
子供がいない夫婦
配偶者の一方が亡くなった場合、亡くなった配偶者(被相続人)の両親が存命の場合は両親が、両親は既に亡くなっているが兄弟姉妹が存命の場合は兄弟が配偶者とともに相続人になります。亡くなった配偶者の家族と残された配偶者の関係が悪い場合、相続争いになることも珍しくありません。もし、残された配偶者が亡くなった配偶者の収入・資産に頼って生活していた場合、その後の生活に影響してしまう可能性もあります。
遺言書を作成することで残された配偶者が困らないように対策することが可能となります。特に、亡くなった配偶者の兄弟姉妹が相続人になる場合、兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言書ですべての財産を配偶者に相続させる旨を定めることで配偶者にすべての財産を遺すことが可能となります。
内縁関係
内縁関係の配偶者に相続権はありません。内縁関係の配偶者に財産を遺すには遺言書を作成する、生前贈与を活用するなどの対策が必須です。
前妻との間に子どもがいる
前妻との間の子どもは相続人となります。後妻にできるだけ多くの財産を遺したい場合には遺言書を作成する、生前贈与を活用するなどの対策が必須です。
身の回りの世話をしてくれた相続人に財産を多く渡したい
遺言書がなくても寄与分という制度で財産を多く渡すことができる場合もあります。しかし、寄与分がそもそも認められない、認められても額が不十分となるといったリスクがあります。確実に財産を多く渡すには遺言書が必要です。
多額の援助をした相続人がいるが、他の相続人にも公平に財産を渡したい
遺言書がなくても特別受益という制度で他の相続人にも公平に財産を遺すことができる場合もありますが、寄与分同様、特別受益が認められない、認められても額が不十分といったリスクがあります。確実に公平に財産を渡したい場合には、遺言書が必要です。
財産を寄付したい(遺贈寄付)
遺言書で財産を寄付することができます。なお、寄付は断られることもあるため、事前に寄付をする相手方の了解を得ておく必要があります。また、税務上注意すべき問題もあります。遺贈寄付を考えている方は、専門家への相談は必須でしょう。
相続人がいない
相続人がいない場合、遺産は基本的に国に帰属します。特別縁故者は財産分与の申し立てをすることができますが、認められるかは不確実で手続きが負担になります。遺言書を作成することで自分で遺産の処分(お世話になった人に財産を遺す、寄付をするなど)を決めることができます。
遺産分割を禁止したいケース
未成年の親権者や未成年の特別代理人ではなく未成年自身に遺産分割協議をして欲しいといった場合には、遺言書で5年以内の期間、遺産分割を禁止することができます。
この記事では、遺言書を作成すべきケースについて解説いたしました。遺言書の作成をご希望の方は、弁護士にご相談ください。
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