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Q. 終活とは?何をすべきか?弁護士がお勧めする11選を解説

更新日:2023年5月11日

終活リスト

最近、終活という言葉を目にする機会が増えましたが、実際には何をすべきなのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

終活とは、人生の終わりのための活動です。家族の負担を減らすことができ、人生を見つめなおすきっかけにもなるとして近年注目されています。終活は具体的なイメージが湧きにくく後回しにされがちですが、元気なうちに進めておかないとできなくなる場合もあります。

この記事では、終活としてできることの一部をご紹介します。優先順位はその人ごとに違いますし、終活としてできることは他にもありますが、何からすれば良いか悩んでいる方は、記事の上から順に検討してみるのも良いでしょう。

家族など周囲の方とよく話し合い、できる限りサポートも受けながら終活を進めていきましょう。

財産の情報や資料の整理を行う    

(1)財産の情報と資料を整理しない場合のデメリット

財産や借金の情報が整理されていない、財産に関する資料が整理されていない場合、以下のような問題が生じます。

①財産調査が相続人にとって大きな負担になる 

被相続人の財産が明らかではない場合、相続人は家中を探し、見つかった郵便物などをきっかけに財産の資料を収集するなど、様々な財産調査をしなければなりません。葬儀やその後の法要、そして相続人自身の仕事や生活で忙しい中、財産調査は相続人にとって想像以上の大きな負担となります。

②財産調査で財産が見つからない可能性がある

実物としての通帳等がある場合は財産が見つかる可能性が高いですが、ネット銀行口座・ネット証券口座・電子マネー・暗号資産などのデジタル遺産やオンラインの会員サービスなどは、通帳や郵便物などの実物がなく、財産調査の手掛かりが無いケースも多いでしょう。

財産の存在に気付かずに相続手続きをしてしまい、その後になって財産が見つかった場合、様々な問題が生じる可能性があります。

例えば、財産の方が多いと考えて相続放棄をしなかったところ、多額の借金が見つかってしまうことや、遺産分割協議をしていたところ、後から相続財産が見つかり、遺産分割協議をやりなおすことになってしまうこともあります。

③譲渡所得税が余分にかかるリスクがある

不動産の売却により利益が生じた場合、譲渡所得税がかかる場合があります。譲渡所得税は、簡単に言うと、売却代金から取得費(例えば、購入代金など)を引いた額に課税されるものですが、取得費の分かる資料がない場合は、売却額の5%相当額が取得費になります。

本来の取得費が売却額の5%より多い場合には、譲渡所得税が余分にかかるというリスクがあります。これらの問題は、財産の情報や資料を整理しておけば予防できます。

(2)エンディングノート

エンディングノートという終活に関する情報を記載できるものが市販されています。エンディングノートに財産や資料の保管場所等の情報をまとめておき、保管場所を周囲の信頼できる人に教えておきましょう。また、変更があれば、その都度エンディングノートを修正しましょう。

手間はかかりますが、財産調査の負担や様々なリスクの予防ができます。また、財産の情報や資料を整理しておくことは他の終活の役に立つことも多いはずです。まずは財産の情報や資料を整理するところから始めることをお勧めします。


弁護士に相談してみよう
親から相続した財産が分からないなど自分が所有する財産を把握していない方もいます。相続に詳しい弁護士であれば財産調査も得意なはずです。もし、自分の財産を正確に把握してない場合は、弁護士に相談してみましょう。
その際、エンディングノートを作成し、弁護士に観てもらうと、エンディングノートの記載が、相続人が財産を見つけやすいものになっているか等のアドバイスを受けることも出来るでしょう。

判断能力の低下に備える

判断能力が低下すると、財産管理を適切に行えず、無駄な支出をする、詐欺にあうなどの問題も生じます。対策としては、

  • 見守り契約
  • 財産管理委任契約
  • 任意後見契約
  • 家族信託

などがあります。

判断能力の低下後は、財産管理を任せる人を選ぶことや手続きをすることが困難になるため、判断能力が十分なうちに対策をしておきましょう。費用はかかりますが、不適切な財産管理を防止するためには対策が必要です。弁護士は法律相談でどのような契約をいつすべきかといったアドバイスや、手続きのサポートなどが可能です。

遺言書を作成する

遺言書

遺言書がない場合や遺言書の内容が不適切な場合は相続でもめる可能性があります。相続争いなどのトラブルを回避するために適切な遺言書を作成しましょう。

体調を崩してから遺言書を作成しようとすると、遺言書を作成する能力がなくなってしまう、適切な遺言書を作成する余裕がなくなってしまう等のリスクがあります。元気で余裕があるうちに適切な遺言書を作成することが重要です。

自分で遺言書を作成し、保管しておくことも可能ですが、方式の不備があり、遺言が無効とされる、紛失等のリスクがあり、お勧めできません。公正証書遺言は公証人の関与のもとに作成され、公証役場で少なくとも20年間は保管されるため、公正証書遺言がお勧めです。また、遺言書を適切に作成するには注意すべき点が多くあるため、弁護士に相談することをお勧めします。

※遺言書作成に関する相談をご希望の方はこちらのページをご覧ください。

「負動産」などの財産に関する問題を解決する

登記未了や共有状態の不動産、境界に争いがある土地、いわゆる「負動産」に関する問題は生前にできる限り解決しておきましょう。

登記や境界に問題があると、売却可能な不動産でも売却困難になる、時間の経過とともに権利関係がより複雑になりやすいなどの不都合があるためです。問題解決に手間や費用はかかりますが、解決しておかないと相続人に厄介な問題を押し付けることになってしまいます。

空地

相続人より被相続人の方が問題となっている財産に詳しいことが多く、また、相続の際に資料がどこかへいってしまう、相続人間で意見が割れてしまうというリスクもあるため、相続人が問題を解決するのは、手間や費用がかかることが多いのが現実です。

先送りせず、相続人のためにもできる限り財産に関する問題は解決しておきましょう。問題を解決したいと考えた時は弁護士にご相談下さい。

(関連記事)「Q. 【負動産問題】相続土地国庫帰属制度とは?制度の概要・要件・負担金など手続きについて解説
(関連記事)「Q. 【負動産問題】土地の共有持分を放棄する方法について解説

葬式の準備をしておく

本人、遺族双方にとって後悔のない葬儀をするために、葬儀社に事前相談し、葬儀の準備をできる限り進めておきましょう。

葬儀は一般的には亡くなった翌々日に行われるため、亡くなった後に遺族が準備を始めた場合、準備する時間が短くなります。遺族は亡くなったことにショックを受けており、冷静な判断が難しい状態の中で、様々なこと(葬儀の規模、遺影や連絡名簿、葬儀代等)を、短時間で検討しなければなりません。事前の準備がなければ本人、遺族双方にとって後悔のない葬儀をすることは難しくなってしまいます。

老人ホームや介護施設を検討する

老人ホームや介護施設の種類は多く、費用もかかりますし、入居希望者が多く入居待ちになることも珍しくありません。検討開始が早いほど、十分な検討時間や費用の確保がしやすくなり、長期間にわたる入居待ちも回避できるでしょう。

検討の際は家族とよく話し合い、公的機関である地域包括支援センターや、民間の老人ホーム紹介業者等にも相談するのがお勧めです。

死後事務委任契約をしておく

死後の事務を任せられる人がいない、任せることが不安(複雑な事務があるなど)である、任せたくない事務(家族等に知られたくない個人情報の削除など)がある場合などに、死後事務委任契約を利用できます。

生前に事務処理しておく方が望ましい場合もありますし、遺言等、他の制度との整合性等も問題になります。死後事務委任契約を検討する際には、弁護士にご相談ください。

延命治療等の意思表示をしておく

延命治療等の希望について、事前指示書(※)などの書面に記載しておくことができます。法的な拘束力はありませんが、延命治療等について意思を伝えるのが難しい状態になった場合に備え、できる限り本人の意向を反映するためのものです。

事前指示書は、ネット上で公開されているものもありますし、病院や介護施設等でも提供されていることがあります。

事前指示書を作成する際には、一度作成して終わりではなく、家族や友人等と何度も繰り返し話し合うことが重要です。何度も繰り返し話し合うことで考えが深まり、また、時間が経つと考え方がかわる場合もあります。話し合う度に書面に残しておくことをお勧めします。なお、延命治療等には様々な状況や内容があるため、具体的なイメージをもつことが難しいでしょう。具体的なイメージをもつためには医師に相談することもお勧めです。作成した事前指示書の保管場所を家族や友人等に伝えておくのも忘れないようにしましょう。

事前指示書以外にリビングウィルなどの名称もあり、名称は統一されていません。また、事前指示書の内容について公正証書にする尊厳死宣言公正証書というものも存在します。

節税対策について税理士に相談する

相続税の節税対策としてできることは多いですが、早期に対策を始めなければ効果が薄いものや、節税対策の際注意しなければならないことが多く、改正にも気を配る必要があるため、適切に節税するためには、相続税専門の税理士に相談する必要があります。

なお、相続税には3000万円+(600万円×法定相続人の数)の基礎控除があり、特に節税対策をしなくても相続税がかからない場合も多いです。もっとも、相続税が課税されるか否かは、様々な要素が絡んでくるため、いずれにしても相続税専門の税理士にご相談することをお勧めいたします。

お墓の準備をしておく

近年は一般的なお墓のほか、永代供養墓、納骨堂、樹木葬等多様化している中で、宗派、場所、設備、お墓の種類、費用等様々なことを決めなければなりません。また、生前にお墓代の支払いを済ませておけば、節税にもなります。

葬儀とは異なり、お亡くなりになってから、ある程度時間をかけてお墓を決めることは可能ですが、生前にお墓について決めておく方が望ましいでしょう。自分の希望に沿ったお墓にするだけでなく、家族等の墓参りの負担も考える必要がありますので、家族等とよく話し合い、寺院や霊園、墓石業者に相談して決めておくのが良いでしょう。

生前整理(不用品の処分や不要なサービスの解約)をする

不用品が溜まれば溜まるほど不用品の処分に労力がかかります。早いうちに少しずつ不用品の処分を進めておきましょう。不用品の処分により、人生を振り返るきっかけになりますし、遺品整理の負担軽減にもなります。最近は、メルカリなどを利用して生前整理を行う高齢者も増えているようです。

終活に関するまとめ

以上、11の項目で終活に関する解説をしてきました。終活にはいろいろあり、手間がかかるものも多いです。無理はせず、すこしずつ進めていくと良いでしょう。また、終活とひとまとめにされますが、すべきことごとに専門家も異なります。家族など周囲の方、それぞれの専門家と共に終活を進めていくことが重要です。

※遺言書の作成に関する相談をご希望の方はこちらのページをご覧ください。
※家族信託に関する相談をご希望の方はこちらのページをご覧ください。

【記事監修者】

弁護士法人しらと総合法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや)  
第二東京弁護士会所属  中央大学法学部法律学科卒業

【代表弁護士白土文也の活動実績】
・相続弁護士基礎講座(弁護士向けセミナー)講師(レガシィクラウド動画配信)
・ベンナビ相続主催「相続生前対策オンラインセミナー」講師
・弁護士ドットコム主催「遺産相続に関する弁護士向けセミナー」登壇
その他、取材・講演多数
  
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