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Q. 弁護士なしでも遺産分割手続き(遺産分割調停など)は進められる? 遺産分割手続きについて弁護士に依頼するメリットについて解説
2025年5月10日更新

【記事監修者】 ![]() 弁護士法人しらと総合法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや) 第二東京弁護士会所属 中央大学法学部法律学科卒業 【代表弁護士白土文也の活動実績】 ・相続弁護士基礎講座(弁護士向けセミナー)講師(レガシィクラウド動画配信) ・ベンナビ相続主催「相続生前対策オンラインセミナー」講師 ・弁護士ドットコム主催「遺産相続に関する弁護士向けセミナー」登壇 その他、取材・講演多数 弁護士のプロフィールはこちら |
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【この記事の内容】 ・遺産分割手続きの基本的な流れ ・遺産分割事件の弁護士関与率 ・弁護士に依頼するメリット |
「弁護士に頼まず、自分たちで遺産分割を進めても大丈夫だろうか?」相続が発生し、遺産分割手続きが必要になった際に、このように悩む方も少なくありません。
実際のところ、遺産分割手続きは弁護士なしでも問題なく進めることができるのでしょうか?この記事では、遺産分割手続きの基本的な流れを確認したうえで、弁護士に依頼するメリットについて統計データを交えてわかりやすく解説いたします。
遺産分割手続きの基本的な流れ
まずは遺産分割手続きの基本的な流れを簡単に確認しておきましょう。遺産分割手続きには以下の3段階があります。
- 遺産分割協議(相続人同士の話し合い)
- 遺産分割調停(家庭裁判所で調停委員を交えて行う話し合い)
- 遺産分割審判(裁判官が遺産の分け方を判断)
相続人同士で合意できなければ調停に進み、調停でも合意できなければ審判に移行するという流れになります。
遺産分割事件の約8割に弁護士が関与
令和元年から令和5年までの司法統計によると、令和の遺産分割調停・審判の約8割に弁護士が関与しています。
年度 | 遺産分割事件数 | 弁護士関与あり | 関与率(%) |
令和元年 | 12,785 | 10,080 | 78.8% |
令和2年 | 11,303 | 9,007 | 79.7% |
令和3年 | 13,447 | 10,874 | 80.9% |
令和4年 | 12,982 | 10,502 | 80.9% |
令和5年 | 13,872 | 11,170 | 80.5% |
一方、平成16年から平成20年までの司法統計では、弁護士の関与率は約6割にとどまっていました。
年度 | 遺産分割事件数 | 弁護士関与あり | 関与率(%) |
平成16年 | 9,286 | 5,697 | 61.4% |
平成17年 | 9,581 | 5,839 | 60.9% |
平成18年 | 10,112 | 6,128 | 60.6% |
平成19年 | 9,800 | 5,955 | 60.8% |
平成20年 | 10,202 | 6,246 | 61.2% |
現在では、弁護士の関与が一般的になっていますが、弁護士費用を払う以上のメリットはあるのでしょうか。
弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼する主なメリットは以下のとおりです。
本来得られる経済的利益を取得しやすくなる
弁護士は法律の専門家として法的に適切な主張を行うことができます。その結果として、本来得られる経済的利益を取得できる可能性が高くなります。
令和5年度の司法統計によれば、弁護士が関与していない場合には、遺産分割事件が1年未満で解決する割合が81.4%、弁護士が関与している場合には1年未満で解決する割合が53.9%となっています。一見すると、弁護士をつけない方が早く解決し、良さそうに見えますが、本来得られる経済的利益を十分に理解しないまま早期に解決してしまっている件も少なくないと考えられます。
また、遺産総額が多いほど弁護士の関与率が高くなる傾向もあります。令和5年度の司法統計によれば、遺産総額が1000万円以下のケースの弁護士関与率は77.9%ですが、遺産総額が5000万円超~1億以下のケースの弁護士関与率は89.7%になります。これは遺産総額が多いほど、本来得ることができる経済的利益も多く、弁護士に依頼することで本来得ることができる経済的利益を適切に把握することが重要になるためだと考えられます。
遺産総額が少ない案件では本来得ることができる経済的利益も少ないため、弁護士の報酬を差し引くと、得られる経済的利益がかえって減ってしまうというケースもないとはいえません。しかし、弁護士に依頼せず、自分で遺産分割手続きを行った結果、得られる経済的利益が少なくなってしまっている事例もあります。また、弁護士に依頼するメリットは以下で説明する通り経済的な利益に限られません。
遺産分割後のトラブルが生じるリスクを軽減可能
遺産分割は適切な経済的利益を得られればそれで良いというものではありません。例えば、安易に不動産を共有名義にしてしまった結果、後々の利用や売却などでトラブルになることがあります。弁護士に依頼し、ケースに応じた適切な分割方法を用いることで遺産分割後のトラブルが生じるリスクを軽減することが可能です。
適切なアドバイスを受けながら遺産分割手続きを進めることが可能
遺産分割手続きでは、遺産の範囲や遺産の評価、分割方法などについて合意を形成していくことが重要になります。合意を形成していく際に弁護士から適切なアドバイスを受けることで、本来得ることができる経済的利益や、遺産分割後にトラブルになるリスクなどを踏まえて、遺産分割手続きを進めることが可能になります。
遺産分割手続きの負担が軽減される
遺産分割手続きを自分自身で進める場合は、相手方の主張や感情と直接向き合うことになりますが、精神的に大きな負担になるでしょう。特に、兄弟姉妹が相続人の場合は、より近しい関係のため、精神的な負担はより大きいと思います。実際、弁護士でも自分自身の法的な問題については自分で解決せずに、別の弁護士に依頼することも珍しくありません。
遺産分割手続きについて弁護士に依頼すれば、弁護士が依頼者の代わりに主張内容を記載した書面の作成や、遺産分割事件の期日の出頭などを行い、依頼者は弁護士が作成した書面の確認をしたり、弁護士から期日の報告を受けたりすることになります。そのため、依頼者の物理的な負担だけでなく精神的な負担も相当程度軽減されます。
また、遺産分割調停を申し立てる際に必要な書類の収集や申立書の作成、郵送手続きなどを弁護士が代わりにするため、遺産分割手続きに不慣れな方だと時間のかかる作業も任せることができます。
できるだけ早い段階で相談することがおすすめ
遺産分割手続きが終了した後に、遺産分割手続きに関する相談を受けることもありますが、基本的には解決は困難です。遺産分割手続きが進めば進むほど、既に話が進んだ部分について後からやり直すことは難しくなるため、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
確かに、弁護士に依頼すると費用がかかるため、得られる経済的利益が少なくなるケースもあります。しかし、その判断自体が専門的で一般の方には難しいものです。また、弁護士に依頼するメリットは経済的利益に限りません。「弁護士に頼むと損をするのでは?」と不安な方も、まずは一度弁護士に相談することをおすすめいたします。
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