遺産相続問題に関するよくある質問や、相続に関する基礎知識・豆知識、判例などをQ&A方式でご紹介いたします。
Q. 両親が離婚した場合の子どもの遺産相続権は?離婚した元妻との間に子がいる場合の法定相続人・法定相続分について解説
2024年11月8日更新
【記事監修者】 弁護士法人しらと総合法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや) 第二東京弁護士会所属 中央大学法学部法律学科卒業 【代表弁護士白土文也の活動実績】 ・相続弁護士基礎講座(弁護士向けセミナー)講師(レガシィクラウド動画配信) ・ベンナビ相続主催「相続生前対策オンラインセミナー」講師 ・弁護士ドットコム主催「遺産相続に関する弁護士向けセミナー」登壇 その他、取材・講演多数 弁護士のプロフィールはこちら |
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【この記事の内容】 ・元妻には相続権がない ・離婚した場合でも子どもは相続権を有する ・再婚していた場合の相続分 ・離婚した元妻に引き取られた子に相続させたくない場合の対応策 |
離婚後の遺産相続では誰がどのくらい遺産を受け取ることができるのでしょうか。離婚後の遺産相続には、前の家族との関係や新しい家族との関係が影響します。この記事では、離婚後の遺産相続権に関する基本的な知識や注意点について解説します。なお、元夫が被相続人になる場合を想定して解説しますが、元妻が被相続人となる場合も同様です。
元妻には相続権がない
まず、大前提ですが、被相続人の元妻は配偶者ではないため相続権を有しません。もし、離婚したけれども何らかの事情で元妻に遺産を残したい場合には遺贈や贈与をする必要があります。
離婚した場合でも子どもは相続権を有する
離婚した場合でも、被相続人と元妻との間に生まれた子どもは自分の子どもであることに変わりはありません。そのため、元妻との子どもは相続権を有します。この場合、親権の有無は相続権の有無には関係しません。なお、元妻との子どもが元妻の再婚相手と普通養子縁組をした場合でも、実親との親子関係は継続するため子どもは元夫の相続権を有します。ただし、普通養子縁組ではなく、特別養子縁組をした場合は、実親との親子関係が終了するため相続権を有しないことになります。
被相続人である元夫が再婚していない場合、相続人は子どものみになるため、元夫が相続対策をしない限り、元妻の子どもが元夫の財産をすべて承継します。
法定相続分 | |
元妻との子 | 全部 |
再婚していた場合の相続分(再婚相手との間に子どもがいない場合)
元夫が再婚していた場合、元夫の相続人は、①再婚相手と、②元妻との子どもです。
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があるため、再婚相手が、元妻との子と会ったことがなかったり、音信不通になっていたりしたとしても、元妻の子に連絡を取る必要があります。
法定相続分 | |
再婚相手 | 2分の1 |
元妻との子 | 2分の1 |
再婚していた場合の相続分(再婚相手との間に子がいる場合)
元夫が再婚し、かつ、再婚相手との間に子どもがいたときは、元夫の相続人は、①再婚相手、②元妻との子、③再婚相手との子になります。元妻の子も、再婚相手の子も元夫の子であることには変わりありません。元妻の子と再婚相手の子との間で法定相続分に違いはありません。
法定相続分 | |
再婚相手 | 2分の1 |
元妻との子 | 4分の1 |
再婚相手との子 | 4分の1 |
再婚していた場合の相続分(再婚相手の連れ子と養子縁組した場合)
元夫が再婚し、かつ、再婚相手の子との間で養子縁組をしていた場合、元夫の相続人は、①再婚相手、②元妻との子、③養子縁組をした再婚相手の連れ子になります。再婚相手の連れ子は元夫の実子ではありませんが、養子縁組をしたことにより元夫の相続権を有します。実子と養子との間でも法定相続分に違いはありません。
法定相続分 | |
再婚相手 | 2分の1 |
元妻との子 | 4分の1 |
養子縁組をした再婚相手との子 | 4分の1 |
離婚した元妻に引き取られた子との関係が疎遠な場合
ここまで、離婚していた場合の相続関係について解説いたしました。子が幼い頃に離婚した場合、元妻が子を引き取り、元夫と子との関係が疎遠になっているケースも珍しくありません。上記のとおり、その場合でも、子には相続権があります。もっとも、元夫が再婚し、新たな家庭を築いていた場合、現在の家族に多くの財産を相続させたいという考えを持つかもしれません。
仮に、元妻との子に全く相続させたくない場合、遺言書で相続分を0にするという方法があります。相続分は民法で定められていますが、遺言書で民法が定める相続分とは異なる相続分を指定することが可能です。例えば、遺言書で再婚相手の相続分を2分の1、養子縁組をした再婚相手との子の相続分を2分の1と指定すると、元妻との子の相続分は0になります。ただし、相続分の指定が遺留分を侵害する場合には、遺留分侵害額請求をされる可能性があり紛争になるリスクがあるため注意が必要です。
なお、元妻との子に欠格事由がある場合や、元妻との子の廃除が認められた場合、元妻の子は相続人になることができません。そのため、元妻との子に相続させないことができますが、欠格や廃除は例外的な場合であり、相続させたくないというだけでは認められません。
後妻と前妻との子どもの相続争いはよくある
後妻と前妻の子どもの関係が良くないケースは多く、後妻と前妻との子どもの相続争いはよくあることです。相続対策をする際には、誰にどれだけの財産を承継させるかということだけでなく、相続争いのリスクを下げる視点が特に重要になります。例えば、生前贈与を活用すると相続財産が少なくなるため、元妻との子どもに相続させる財産を少なくできるように見えますが、遺産分割において特別受益が争点となったり、ケースによっては遺留分侵害額請求をされてしまうリスクがあります。後妻と前妻の子どもが相続人になる場合、相続対策は特に慎重にすべきです。相続争いを回避するための遺言書作成について弁護士に相談すべきでしょう。
【しらと総合法律事務所の特徴】 (相続に関する豊富な実績) しらと総合法律事務所では、相続に関する新規のご相談をほぼ毎日受けており、また、各弁護士が担当した案件について事例の共有を行うことで、事務所内での知識の蓄積と共有も行っております。その他、外部の弁護士も参加する週1回の事務所内勉強会の開催や、弁護士向けの相続セミナー講師、一般の方向けの相続セミナー講師などの様々な活動を通して、日々研鑽を積んでおります。 他の事務所で対応できないと言われた案件についても、当事務所において解決できた実績がありますので、是非あきらめずに当事務所にご相談下さい。代表弁護士の下、複数の弁護士でチームを組んで相続問題の解決に努めております。 (幅広い業務範囲) 開業以来10年間、遺産分割・遺留分侵害・預金の使い込みなどの相続トラブルはもちろん、相続放棄などの相続手続き代行や、遺言書作成・家族信託・事業承継などの生前の相続対策まで幅広い相続問題をサポートして参りました。 争いが生じた後に弁護士に相談するのではなく、争いにならないように、また、手続きだけで済むように弁護士に相談してください。 (「ワンストップ」によるサービスの提供) 相続問題は、法律問題以外も、税務・登記などの問題も絡み、弁護士以外の専門家に相談すべきケースも多くあります。しらと総合法律事務所では、協力関係にある税理士・司法書士等の専門家と連携し、ワンストップでご相談できるようサポートしております。お客様からご希望があれば税理士などの専門家をご紹介いたしますので、基本的に、お客様が自ら税理士や司法書士を探す必要はございません。必要に応じて当事務所での面談も可能です。 |
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