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Q. 非上場株式を相続する際の手続きや生前対策の必要性について解説

2025年9月2日更新

事業承継

【記事監修者】

弁護士法人しらと総合法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや)  
第二東京弁護士会所属  中央大学法学部法律学科卒業

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その他、取材・講演多数
  
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【この記事の内容】

・非上場株式を相続する際の基本的な流れ
・非上場会社のオーナーが元気なうちにやっておくべき生前対策


非上場会社のオーナーが亡くなり非上場株式を承継する際には、上場株式とは異なる手続きがあるため注意が必要です。遺言書の有無や内容によって手続きの流れも大きく異なります。また、株式を共有していると、株式についての権利(議決権など)を行使できなくなり、重要な意思決定ができなくなる、後継者が会社の経営を安定して続けることが難しくなるといったおそれがあります。

この記事では、非上場株式を相続する際の基本的な流れに加え、非上場会社のオーナーが元気なうちにやっておくべき生前対策についても解説いたします。

株式は遺産のひとつ

相続が開始すると、被相続人が所有していた株式は遺産になります。そして、株式は相続が開始しても当然には分割されず、共同相続人らの共有状態となります。そのため、遺言書で株式の処分について定められていない場合には、遺産分割協議が必要になります。

例えば、遺産に株式200株があり、相続人が2名でそれぞれの法定相続分が2分の1だった場合、200株の株式は法定相続分に従って当然に100株ずつに分けられるのではなく、200株すべてが2分の1ずつの共有状態になり、単独で株主権を行使することは出来ません。共有状態を解消するためには遺産分割協議が必要です。

株式を承継する際の手続きは、遺言書の有無やその内容によって異なる

遺言書の有無や内容によって、以下のような手続きが変わってきます。

  • 遺産分割手続きが必要か否か
  • 譲渡承認の対象か否か
  • 売渡請求の対象か否か
  • 名義変更を行える人は誰か

まずは遺言書の有無や内容を確認しましょう。遺言書の調査方法や保管場所には以下のようなものがあります。

  • 公正証書遺言
    公証役場の検索システムで確認
  • 自筆証書遺言
    自宅(箪笥・仏壇・金庫など)、貸金庫で保管、友人・弁護士・税理士などに預けている、法務局で保管

非上場株式の処分について定めている遺言書がない場合

非上場株式の処分について定めている遺言書がない場合には、遺産分割協議が必要です。遺産分割後、株式を引き継ぐ相続人が単独で名義変更手続きを行うことができます。非上場株式の名義変更手続きについては、会社に問い合わせて進めます。

なお、遺産分割で承継する際には譲渡制限株式であっても、会社の承認(譲渡承認)は不要です。ただし、会社が売渡請求(会社に株式を売るよう求める制度)を行うことができる場合があります。譲渡承認や売渡請求については後ほど簡単に解説いたします。

遺産全部を相続させる遺言書がある場合

遺産全部を相続させる遺言書がある場合、遺産分割手続きは不要です。非上場株式を承継した相続人は、遺言書などを用いて単独で名義変更手続きをすることができます。また、譲渡制限株式であっても、譲渡承認は必要ありません。ただし、会社が売渡請求を行うことができる場合があります。

遺産全てを相続させる遺言書の記載例としては、例えば以下のようなものが考えられます。

第〇条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を遺言者の長男〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。

特定の非上場株式を相続させる遺言書がある場合

特定の非上場株式を相続させる遺言書がある場合も、遺産全部を相続させる遺言書がある場合と同じ流れになります。ただし、処分が定められていない遺産がある場合には、その遺産について遺産分割協議が必要になります。

特定の株式を相続させる遺言書の記載例としては、例えば以下のようなものが考えられます。

第〇条 遺言者は、遺言者の所有する下記の株式を遺言者の長男〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
                    記

 会 社 名 〇〇株式会社(本店所在地〇〇)
 株 式 数 遺言者が所有する全て(遺言時の株数〇株)

遺産全てを遺贈する遺言書がある場合

遺産全てを遺贈する遺言書がある場合も、遺産全部を相続させる遺言書がある場合と同じ流れになります。遺産全てを遺贈する遺言書の記載例としては、例えば以下のようなものが考えられます。

第〇条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を〇〇(昭和〇年〇月〇日生、住所:〇〇)に包括遺贈する。

特定の非上場株式を遺贈する遺言書

特定の非上場株式を遺贈する遺言書がある場合は、遺言書で処分が定められているため、遺産分割協議は不要です。ただし、処分が定められていない遺産がある場合には、その遺産について遺産分割協議が必要になります。また、名義変更手続きは遺贈を受けた方と、相続人が共同して行わなければなりません(株券発行会社の株式については株券を提示することで遺贈を受けた方が単独で手続き可能です) 。そして、売渡請求の対象にはなりませんが、株式の譲渡について会社に承認してもらうことが必要です。特定の株式を遺贈する遺言書の記載例としては、例えば以下のようなものが考えられます。

第〇条 遺言者は、遺言者の所有する下記の株式を〇〇(昭和〇年〇月〇日生、住所:〇〇)に遺贈する。
                    記
 会 社 名 〇〇株式会社(本店所在地〇〇)
 株 式 数 遺言者が所有する全て(遺言時の株数〇株)

遺言書の有無やその内容ごとの手続きをまとめた表

各ケースごとの手続きについてまとめたものが以下の表です。

 遺産分割の要否売渡請求・譲渡承認名義変更手続きを行うことができる方
非上場株式の処分について定めている遺言書がない必要売渡請求の対象になる承継した相続人
遺産全部を相続させる遺言書不要  売渡請求の対象になる承継した相続人
特定の非上場株式を相続させる遺言書不要(ただし、処分が定められていない遺産がある場合はその遺産について遺産分割が必要)  売渡請求の対象になる承継した相続人
遺産全てを遺贈する遺言書不要売渡請求の対象になる遺贈を受けた人
特定の非上場株式を遺贈する遺言書  不要(ただし、処分が定められていない遺産がある場合はその遺産について遺産分割が必要)譲渡承認の対象になる遺贈を受けた人と相続人の共同申請

譲渡承認とは

多くの非上場会社では、定款で株式の譲渡に会社の承認を要する旨定めることで、株式の譲渡制限をしています。株式の譲渡制限がされている場合は、会社の承認が得られないと、当初予定していた譲渡先に譲渡することができなくなります。

なお、会社に対し、承認しない場合には会社の指定した買取人または会社自身が譲渡制限株式を買い取ることを請求しておくことで、会社の指定した買取人または会社自身に対して株式を買い取らせることもできます。

売渡請求とは

相続は譲渡ではないため、譲渡制限がされていても相続する際に会社の承認は必要ありません。もっとも、このような場合でも定款で相続人に対して相続した株式を会社に売り渡すよう請求することができる旨定めることができます。

非上場株式の調査方法

遺言書に非上場株式の処分について記載されている場合でも、その非上場株式が実際に遺産として存在しているか確認する必要があります。

上場株式については、証券保管振替機構に登録済み加入者情報の開示請求を行うことで調査することができますが、非上場株式については同様の調査はできません 。そのため、非上場株式については、株券や会社から届いた郵便物などから会社を特定し、その会社に問い合わせることで調査することになります。

非上場会社のオーナーが、所有する非上場株式についてエンディングノートなどにまとめておくことで、相続人が調査する負担や、調査漏れが起きてしまうリスクを軽減することができます。

遺産分割手続きが必要な場合、誰も株式についての権利を行使できなくなるおそれがある

遺産分割手続きが必要な場合、相続人が株式を共有することになります。共有している株式についての権利行使は以下の流れで行います。

  • 権利行使者を一人定める
    共有持分の過半数で権利行使者を決めることができます。 ただし、実質的には全く協議をしていないまま、いわば問答無用的に権利行使者を指定したとして、権利行使者の指定を権利濫用として許されないと判断した裁判例 もあることには注意が必要です。
  • 会社に対し権利行使者の氏名又は名称を通知する
  • 権利行使者が株式の権利を行使する
    権利行使者を定めることができないと、株式についての権利を行使できないということになります。そのため、例えば相続人が2名で法定相続分が2分の1ずつの場合において、遺産に200株の株式があったときは、相続人2名の意見が分かれてしまうと権利行使者を定めることができず、議決権の行使などができなくなってしまいます。

生前対策が重要

後継者となる相続人の相続分が2分の1を超えていれば、遺産分割手続きが終わっていない段階でも、自らを権利行使者として指定することで、遺産である株式の議決権を行使することができます。

しかし、相続人が複数いる場合に、後継者となる子の法定相続分が2分の1より多くなることはありません。そのため、生前対策をしていない場合には、他の相続人と協力して、合わせて2分の1を超える相続分を持たない限り、後継者は株式の議決権を行使することができません。当初は協力的だった相続人も、時間の経過や事情の変化によって態度を変えることもあります。そのため、後継者に株式を相続させる遺言書を作成する、株式を生前贈与しておく、株式を信託しておくといった 生前対策が重要になります。

なお、株を分散させず後継者に集中させることには、他にもメリットがあります。例えば、株を少しだけ所有している少数株主がいると、会社をM&A(株式譲渡)することが困難になることがあります。また、経営に参加できないのに株を持ってしまった少数株主も相続した株式が相続税の課税対象になってしまいます。非上場株式の評価は難しく、場合によっては高額になることもあります。なお、後継者に株式を集中させる場合、他の相続人の遺留分を侵害する可能性があるため、遺留分対策にも配慮が必要です。

承継方法について

後継者が安定して経営できるような生前対策や遺産分割手続きを行うことが重要です。また、相続人の誰がどのように株式を承継するのかによって、相続税評価額が異なる可能性があるため、生前対策や遺産分割手続きを行う際には税理士にも関与してもらうのがお勧めです。

まとめ

以上、非上場株式を承継する際の基本的な流れや生前対策について解説いたしました。

非上場株式の承継には、遺言書の有無やその内容によって手続きの流れが大きく異なります。また、株式が共有状態になると、議決権の行使などに支障が生じ、後継者による安定的な経営を妨げる要因となります。このようなリスクを避けるには、後継者への株式集中を意識した生前対策が不可欠です。具体的には、

  • 弁護士と税理士に早めに相談する
  • 遺言書によって非上場株式の承継先を明確にしておく
  • 生前贈与や信託を活用し、あらかじめ株式を移転しておく

といった方法を適切に講じておく必要があります。他の相続人の遺留分や非上場株式の評価にも注意を払いながら、後継者が確実に安定的な経営をすることができる体制を整えておくことが重要です。

会社の将来を見据え、早い段階から準備を進めていきましょう。

【しらと総合法律事務所の特徴】

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争いが生じた後に弁護士に相談するのではなく、争いにならないように、また、手続きだけで済むように弁護士に相談してください。

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