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Q. 遺言書どおりに相続できない場合がある?予備的遺言について解説
2025年4月8日更新

【記事監修者】 ![]() 弁護士法人しらと総合法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや) 第二東京弁護士会所属 中央大学法学部法律学科卒業 【代表弁護士白土文也の活動実績】 ・相続弁護士基礎講座(弁護士向けセミナー)講師(レガシィクラウド動画配信) ・ベンナビ相続主催「相続生前対策オンラインセミナー」講師 ・弁護士ドットコム主催「遺産相続に関する弁護士向けセミナー」登壇 その他、取材・講演多数 弁護士のプロフィールはこちら |
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【この記事の内容】 ・遺言で財産を承継する予定の人が、遺言者よりも先になくなった場合の問題点・対処法 ・予備的遺言がおすすめ ・遺贈する場合も同様 |
特定の相続人に土地を相続させたり、親しい知人に財産を遺贈したりするために遺言書を遺したいと考える方も多いと思います。しかし、遺言書を書けば必ずその通りになるとは限りません。例えば、遺言で財産を承継する予定の人が、遺言者よりも先になくなった場合には問題が生じます。
遺言で財産を承継する予定の人が、遺言者よりも先になくなった場合の問題点
この記事では、遺言で財産を承継する予定の人が、遺言者よりも先になくなった場合の問題点について、具体的なケースを想定して解説いたします。
【想定ケース】
- 遺言者(被相続人)
- 長男
- 次男(遺言者より先に亡くなっている)
- 次男の子(孫)
想定ケースにおける相続人は、長男と孫になります。なぜなら、次男が遺言者よりも先に亡くなっているため、次男の代わりに次男の子(孫)が相続人になるためです(これを代襲相続といいます)。
誰が土地を承継することになるのかという問題が生じる
(遺言書)記載例① 第●条 遺言者は、遺言者の有する下記の土地を、遺言者の次男●●(平成●年●月●日生)に相続させる。 記 所在 ●市●町●丁目 地番 ●番● 地目 宅地 地積 ●●.●●平方メートル |
上記記載例は、遺言者が所有する土地を次男に相続させるもので、通常は問題のない条項です。ただし、次男が遺言者よりも先に亡くなっていた場合、誰が土地を承継することになるのかという問題が生じます。
原則として相続させる遺言の効力は生じない
遺言で財産を相続する予定の人が、遺言者よりも先になくなった場合における、相続させる旨の遺言の効力について判断した判例(最高裁平成23年2月22日)があります。この判例は原則として相続させる遺言の効力は生じない(無効)と判断しました。
最高裁平成23年2月22日 「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから,遺言者が,上記の場合には,当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生ずることはないと解するのが相当である。 |
記載例①の効力が生じない場合、遺言書のうち記載例①の部分はなかったことになります。そのため、相続人である長男と孫が土地Aを共有することになり、共有状態を解消するには遺産分割協議などの手続きが必要になります。記載例①の効力が生じていれば遺産分割手続きをせずに次男が土地Aを取得できたのに、遺産分割手続きが必要になってしまいます。また、記載例①が例外的に有効か否かを巡って次男と孫の間で争いになるリスクもあります。
遺言で財産を承継する予定の人が、遺言者よりも先になくなった場合の対処法
遺言で財産を承継する予定の人が、遺言者よりも先になくなった場合には、遺言書を新たに作成し、作成済みの遺言書を撤回することが考えられます。例えば下記のような条項を含む遺言書を作成します。ただし、新たに遺言書を作成すると、費用や手間がかかってしまうため、可能であれば避けたいところです。
(遺言書)記載例② 第●条 遺言者は、●法務局所属公証人●作成にかかる令和●年第●号遺言公正証書を全部撤回する。 第●条 遺言者は、遺言者の有する下記の土地を、遺言者の孫●●(平成●年●月●日生)に相続させる。 記 所在 ●市●町●丁目 地番 ●番● 地目 宅地 地積 ●●.●●平方メートル |
予備的遺言がおすすめ
そこでおすすめなのが、想定ケースでいえば次男が先に亡くなった場合における財産の承継方法について遺言書で定めておくことです。このような遺言を予備的遺言といいます。予備的遺言を定めておくことで、次男が先に亡くなった場合の相続について明確にすることができ、争いになるリスクを防止することができます。例えば以下のような記載例が考えられます。
(遺言書)記載例③ 第●条 遺言者は、遺言者の有する下記の土地を、遺言者の次男●●(平成●年●月●日生。以下「■■」という。)に相続させる。 記 所在 ●市●町●丁目 地番 ●番● 地目 宅地 地積 ●●.●●平方メートル 第●条 ■■が遺言者に先立って又は遺言者と同時に死亡していた場合、遺言者は前条記載の土地を遺言者の孫●●(平成●年●月●日生)に相続させる。 |
遺贈する場合も同様
ここまで相続させる旨の遺言について解説いたしましたが、遺贈も同様です。遺贈については民法994条で、受遺者(遺贈を受ける方)が遺言者の死亡以前に亡くなっていた場合、遺贈の効力が生じないことが定められています。つまり、遺贈は特別の事情があっても効力が生じない点で相続させる旨の遺言と異なりますが、遺贈の効力が生じないことで問題が生じる点は相続させる旨の遺言と同様です。遺贈の場合も予備的遺言を活用することがおすすめです。
第九百九十四条 遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。 |
まとめ
以上、遺言で財産を承継する予定の人が、遺言者よりも先になくなった場合の問題点や、その対策について解説いたしました。予備的遺言は誰がどの財産を相続するかにかかわる重要な条項です。弁護士に相談することで遺言者の意思に沿った遺言書を作成することができます。是非しらと総合法律事務所にご相談下さい。
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