2024年11月2日更新

【記事監修者】 弁護士法人しらと総合法律事務所・代表弁護士　白土文也　（しらとぶんや）　　 第二東京弁護士会所属　　中央大学法学部法律学科卒業 【代表弁護士白土文也の活動実績】 ・相続弁護士基礎講座（弁護士向けセミナー）講師（レガシィクラウド動画配信） ・ベンナビ相続主催「相続生前対策オンラインセミナー」講師 ・弁護士ドットコム主催「遺産相続に関する弁護士向けセミナー」登壇 その他、取材・講演多数 　　 弁護士のプロフィールはこちら

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A　法律上遺言執行者が手続きを行うことを求められている場合や、遺言執行者を定めることが望ましい場合には、遺言書で遺言執行者を定めるべきです。

遺言内容の実現に遺言執行者が法律上必要な場合

法律上、遺言執行者が手続きを行うことを求められている事項は以下の通りです。もし遺言書で遺言執行者が定められていない場合、遺言執行者の選任申立てをしなければ手続きが進みません。

(1)　認知

遺言書で認知がされた場合、遺言執行者が認知の届出を行います。

(2)　廃除及び廃除の取消し

遺言書に廃除や廃除の取消しが記載されている場合、遺言執行者が廃除や廃除の取り消しの請求を家庭裁判所に行い、廃除や廃除の取消しの裁判が確定した後に届出をします。

なお、廃除について遺言書に記載されていた場合でも、家庭裁判所は記載内容通りに廃除を認めるわけではなく、廃除を認めるべき事実の有無について審理した上で判断します。廃除の要件が厳格な上、一般的に、遺言者は既に亡くなっており、廃除を裏付ける資料が乏しいことも多く、生前に廃除するケースと比べて遺言による廃除は容易には認めらないのが実情です。

(3)　一般財団法人の設立

遺言により財団法人を設立する場合、遺言執行者が定款の作成や財産の拠出などを行います。

遺言執行者を定めることが望ましい場合

以下は、遺言執行者がいない場合でも手続きは可能であるものの、遺言執行者を定めておいた方が望ましいケースです。

(1)　相続人以外の者への遺贈

例えば、不動産の遺贈のケースでは、遺言執行者がいない場合、不動産の名義変更には相続人全員と受遺者の共同申請が必要です。相続人に非協力的な者がいた場合、名義変更がスムーズに進みません。もし、遺言執行者がいれば、遺言執行者と受遺者の共同申請となり、相続人に非協力的な者がいてもスムーズに名義変更が可能です。

(2)　処分清算型の相続・遺贈

処分清算型とは、相続財産を処分し、債務や経費を支払い、残ったお金を分ける方法です。遺言執行者がいない場合、相続人全員でこれらの手続きを行う必要がありますが、相続人に非協力的な者がいると処分や清算ができず相続手続きが進まないことになります。遺言執行者がいる場合は、相続人に非協力的な者がいても遺言執行者が処分や清算を行うことが可能です。

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