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遺産相続問題に関するよくある質問や、相続に関する基礎知識・豆知識、判例などをQ&A方式でご紹介いたします。

Q. 遺産(相続財産)の調査方法を解説

2024年9月6日更新

様々な相続財産

【この記事の内容】

・遺産の調査方法(手がかりがない場合)
・遺産の調査方法(内容を確認したい場合)


遺産の調査は遺産分割に不可欠です。また、相続放棄をするか決める際には、プラスの遺産とマイナスの遺産がどの程度あるのか把握することが重要です。また、相続税の申告との関係でも、遺産や遺産ではないが相続税の課税対象になる財産を調査する必要があります。

そこで、この記事では主な遺産について、①遺産の手がかりになるもの、②手がかりがない場合の調査方法、③遺産の内容を確認する方法を紹介いたします。なお、遺産と遺産でないものの区別については下記の関連記事をご確認下さい。

(関連記事)「Q. 遺産と遺産でないものの区別 基本から解説

預貯金の調査方法

手がかり

  • エンディングノート
    エンディングノートとは、残された家族や大切な人に向けて、自分の情報を整理しておくノートです。エンディングノートには財産を記載する欄があるため、遺産の手がかりになります。残される人がエンディングノートを確認できないと手がかりにならないため、エンディングノートがあることや、その保管場所を残される人に伝えておくことが重要です。なお、エンディングノートに限らず財産を一覧できるものであれば手がかりになります。
  • キャッシュカード・通帳
  • 金融機関からの郵便物
  • スマートフォンやパソコン
    最近は金融機関のアプリも普及しており、スマートフォンの確認ができれば手がかりになることもありますが、パスワードがわからず確認ができないことも少なくありません。

手がかりがない場合の調査方法

  • 預貯金がありそうな金融機関に照会
    被相続人の生活圏にある金融機関など預貯金がありそうな金融機関に対して預貯金口座の有無を照会することで預貯金が見つかるケースがあります。

内容を確認する方法

  • 被相続人が死亡した時点の残高証明書 
    被相続人が死亡した時点の残高証明書によって預貯金の内容を確認します。金融機関によって発行手続きが異なるため、事前に発行手続きについて問い合わせて確認します。なお、残高証明書と併せて取引履歴を取得すると、他の遺産が判明したり、生前贈与や無断払い戻し等の確認をすることができる場合があります。

不動産の調査方法

手がかり

  • エンディングノート
  • 登記済権利証(登記識別情報)
  • 固定資産税納税通知書
    固定資産税が課税されていない不動産や、共有不動産でご自身が代表者でない不動産は固定資産税納税通知書では確認できないため注意が必要です
  • 契約書(売買や管理委託など)
    売買や管理委託といった不動産に関する契約書は手がかりになります。
  • スマートフォンやパソコン

手がかりがない場合の調査方法

  • 名寄帳
    基本的には市区町村役場の資産課税課で名寄帳を取得することができます。なお、東京23区の場合には不動産のある区の都税事務所の窓口申請や都税証明郵送受付センターへの郵送申請により名寄帳を取得することができます。名寄帳によってその市区町村の不動産を把握できますが、以下の点に注意が必要です。
  • 他の市区町村の不動産は把握できない
  • 1月2日以降に取得した不動産は翌年まで名寄帳に記帳されない
  • 市区町村によっては固定資産税が課税されていない不動産は把握できない。

内容を確認する方法

  • 登記事項証明書(登記簿謄本)
    登記事項証明書で被相続人が不動産の名義人になっていることや、不動産の表示・権利関係を確認します。

建物の賃借権や借地権の調査方法

手がかり

  • エンディングノート
  • 通帳の取引履歴
    賃料の支払いが見つかれば借りていることがわかり、手がかりになります。
  • スマートフォンやパソコン

内容を確認する方法

  • 契約書
  • 通帳の取引履歴
    取引履歴で賃料を確認することができる場合があります。

上場会社の株式の調査方法

手がかり

  • エンディングノート
  • 証券会社からの郵便物(取引残高報告書や配当通知書など)
  • 預金通帳の取引履歴
  • スマートフォンやパソコン

手がかりがない場合の調査方法

  • 証券保管振替機構への照会
    証券保管振替機構に照会することで被相続人が保有していた上場株式を見つけることができます。ただし、住所の変更などがあった場合に証券会社に届け出ていないと、照会しても見つけられないため注意が必要です。

内容を確認する方法

  • 被相続人死亡時点の残高証明書
    被相続人が死亡した時点の残高証明書によって上場株式の内容を確認します。証券会社によって発行手続きが異なるため事前に問い合わせて確認をします。

非上場会社の株式の調査方法

手がかり

  • エンディングノート
  • 非上場会社からの郵便物
  • 通帳の取引履歴
  • 確定申告書の控え
  • スマートフォンやパソコン
  • 株券 
  • 株式譲渡契約書
    非上場株式の株式を譲渡する際に作成された譲渡契約書が見つかった場合には手がかりになります。ただし、契約時と被相続人の死亡時点で株式の数や内容が同じとは限らないため、内容を確認する必要はあります。

内容を確認する方法

  • 非上場会社に問い合わせ
    非上場会社の株式は証券保管振替機構や証券会社が管理していないため、直接非上場会社に株式の有無や内容を問い合わせます。

投資信託の調査方法

投資信託の調査方法は上場会社の株式と同様です。

現金や動産の調査方法

手がかり

  • エンディングノート
  • 貸金庫に関するもの(貸金庫の利用料が記載された通帳の取引履歴、貸金庫の鍵、カードなど)

手がかりがない場合の調査方法

  • 自宅などに現金や動産がないか確認する

債務の調査方法

借金について

手がかり

  • エンディングノート
  • 契約書
  • 請求書・督促状などの債権者からの郵便物
  • 通帳の取引履歴 
  • スマートフォンやパソコン

手がかりがない場合の調査方法

  • 信用情報機関への情報開示請求
    JICC、CIC、全国銀行個人信用情報センターの3つの信用情報機関に対して信用情報開示請求を行うことで、被相続人の借金を確認することができます。
    記載に不備があると適切に情報が開示されなくなってしまうため注意が必要です。特にCICでは電話番号または運転免許証番号も記載する必要があり、電話番号を記載する場合には、被相続人が申告している電話番号を記入しなければなりません。

内容を確認する方法

  • 被相続人死亡時の借入金残高証明書
    被相続人が死亡した時点の借入金残高証明書によって残っている借金を確認します。借入先によって発行手続きが異なるため事前に問い合わせて確認をします。また、借入先に発行手続きを確認する際に、返済の約束といった債務の存在を認めるような言動はしないよう注意が必要です。借入金残高証明書の発行手続きの際には弁護士に相談することをお勧めします。

被相続人の生前に生じた賃料や税金

手がかり

  • エンディングノート
  • 契約書
  • 請求書などの郵便物
  • 通帳の取引履歴
  • スマートフォンやパソコン

内容を確認する方法

  • 通帳の取引履歴
  • 債権者に確認する

生前に財産を整理しておくと相続人の負担が少ない

エンディングノートなどの財産を一覧することができるものがあると、全ての遺産の手がかりになります。相続人が手がかりを探す負担がなくなり、遺産漏れのリスクもなくなります。ただし、財産の構成に変更があった場合(新しく口座を作った、口座を閉じた、不動産を売却した、買ったなど)はその都度更新する必要があります。更新されていなかった期間に新しい財産や無くなった財産がないか確認する必要があるためです。エンディングノートを活かすには、財産の構成に変更がある度に更新することが重要です。更新日も残しておくと良いでしょう。

まとめ

以上、遺産の調査方法について解説いたしました。遺産を漏れなく調査することは大変です。遺産の調査は人生で何度もするものではないため慣れている人は少ないでしょう。不慣れだとなおさら大変な作業です。遺産の調査には時間がかかる上、調査に漏れがあった場合、まとまりかけていた遺産分割がやり直しになったり、一度成立した遺産分割が無効になったりするリスクもあります。遺産の調査にお悩みの方は弁護士にご相談ください。


【記事監修者】

白土文也法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや)  
第二東京弁護士会所属  中央大学法学部法律学科卒業

当事務所が最も注力する分野は遺産相続問題です。
遺産分割、遺留分侵害額請求、相続放棄、遺言書作成、家族信託、事業承継など遺産相続に関わる問題全般に対応しております。
相談件数の半分以上を相続問題が占めており、所属弁護士5名全員が、日々、相続に関して研鑽を積んでおります。是非、ご相談ください。

【代表弁護士白土文也の活動実績】
・相続弁護士基礎講座(弁護士向けセミナー)講師(レガシィクラウド動画配信)
・ベンナビ相続主催・相続生前対策オンラインセミナー講師
・弁護士ドットコム主催・遺産相続に関する弁護士向けセミナー登壇
その他、取材・講演多数
  
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