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相続Q&A

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Q. 遺産相続における特別寄与料とは?計算・請求方法について弁護士が解説

2023年11月23日更新

以前は長男の妻などの相続人でない親族が被相続人への療養看護などをしても、遺産分割手続で遺産からの分配がされず不公平でしたが、この問題を解決するため、令和元年7月1日から特別寄与料という制度がスタートしました。この制度により相続人ではない親族でも、被相続人への療養看護などで顕著な貢献が認められる場合には、その貢献に応じた金銭の支払いを相続人に対し請求することができるようになりました。

この記事では、特別寄与料という新しい制度について、従来からある遺産分割における寄与分との違いや請求方法などを解説いたします。

特別寄与料と遺産分割における寄与分の違い

特別寄与料と寄与分の主な違いは以下の表の通りです。

特別寄与料寄与分
請求権者被相続人の親族相続人
対象行為労務の提供労務の提供又は財産上の給付
特別寄与の意味「その者の貢献に報いて特別寄与料を認めるのが相当なほど顕著な貢献」(静岡家裁令和 3 年 7 月 26 日審判)」寄与の程度が被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待される程度の貢献を超えるものであること
調停・審判の期間制限特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月、又は相続開始時から1年以内調停:相続開始から遺産分割の終了までの間
審判:時期に遅れた申立ては却下される場合がある

特別寄与料の請求権者は誰?被相続人の子の配偶者など相続人以外の親族が請求可能

特別寄与料を請求できるのは被相続人の親族に限られます。親族とは、具体的には、①六親等内の血族、②法律婚の配偶者、③三親等内の姻族ですが、これらの者の内、相続人以外の者が請求することが可能です。例えば、被相続人の子の配偶者は請求できますが、被相続人の子の内縁の配偶者は請求できません。

また、以下の者も特別寄与料を請求できません。

  • 相続放棄をした人
  • 欠格事由に該当し相続権を失った人
  • 廃除によって相続権を失った人

特別寄与料が認められるための要件

特別寄与料が認められるための要件は以下の通りです。

  • ①被相続人の親族(相続人などは除く)であること
  • ②無償で療養看護その他の労務の提供をしたこと
  • ③被相続人の財産の維持又は増加があること
  • ④労務の提供により財産の維持又は増加をしたこと
  • ⑤特別の寄与があること 

⑤特別の寄与の意味については、静岡家審令和3年7月26日で「その者の貢献に報いて特別寄与料を認めるのが相当なほど顕著な貢献」と示されており、実務上参考になります。身の回りの世話をした程度で特別寄与が認められるわけではないことに注意しましょう。

特別寄与料の計算方法・相場・上限など。療養看護した場合を解説

審判の場合、家庭裁判所が、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事象を考慮して特別寄与料の額を定めることになります。

なお、特別寄与料の額を定めるにあたっては、従来からある遺産分割における寄与分の計算方法が参考になると考えられています。参考として、被相続人の療養看護をした場合の寄与分の実務上の代表的な計算方法を紹介します。

【療養看護をした場合の寄与分の計算方法】

介護日数(要介護2以上の期間-入院期間・施設入所期間・介護サービスを受けた期間)×介護報酬相当額(介護保険制度で要介護度に応じて定められている介護報酬基準額)×裁量割合

裁量割合とは、裁判所が個別具体的な事案に応じて定める割合を指し、おおむね5割から9割が定められます。

介護報酬基準額は、介護サービスの内容や居住地により異なります。居住地が東京都調布市で要介護度2の方に対し身体介護が中心の訪問介護を行った場合、介護報酬基準額は6398円(小数点四捨五入)になります(記事作成日現在)。

以上から、介護日数が600日、介護報酬基準額6398円、裁量割合0.7のケースにおける寄与分の額は、600日×6398円×0.7=2,687,160円ということになります。

当事者間の協議の場合には当事者が合意するのであれば、どのような算定方法、金額でも基本的に問題ありません。ただし、「特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない」ことには注意が必要です。

特別寄与料の手続きに期限・時効はあるのか?

特別寄与者が家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる期限は、①特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月以内、及び、②相続開始時から1年以内とされています。

なお、「相続人を知った時」の意味について、静岡家審令和3年7月26日が、「当該相続人に対する特別寄与料の処分の請求が可能な程度に相続人を知った時」と判断しており、実務上参考になります。同審判では、連絡を取れるようになっていて住所地を聞き取るなどの調査をすることは容易であったとして、連絡を取れるようになっていた時点を「相続人を知った時」と判断されました。

特別寄与料を請求された場合の相続人の負担割合

特別寄与料は相続人が負担することになりますが、相続人が複数いる場合は、各相続人が法定相続分、または相続分の指定がされているときは指定相続分に応じて特別寄与料を負担します。

【具体例】

・特別寄与料の額:1000万円

・相続人:配偶者と子一名

・相続分の指定なし

配偶者の法定相続分は2分の1、子の法定相続分も2分の1であるため、配偶者と子がそれぞれ500万円ずつ(1000万円×2分の1)、特別寄与料を負担することになります。

特別寄与料に関する協議・調停・審判の流れ

相続人に対する特別寄与料の請求は、以下の順番で行うことが一般的です。

①当事者間の協議

↓ 協議がまとまらない場合や協議ができない場合

②調停

↓ 調停で合意ができなかった場合

③審判

特別寄与料に関する相続税

特別寄与者は、特別寄与料を遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。なお、一親等の血族以外の特別寄与者は、相続税が2割加算されます。   

他方で、特別寄与料を支払う相続人は、相続または遺贈により取得した財産、相続時精算課税の適用を受ける財産の価額から自己の負担する特別寄与料の額を控除した金額を課税価格に算入することになります。

まとめ

以上、特別寄与料について解説いたしました。特別寄与料は新しい制度であり、実務上の取り扱いが明確でない部分もあるため、相続に詳しい弁護士に相談することをお勧めいたします。


【記事監修者】

白土文也法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや)  
第二東京弁護士会所属  中央大学法学部法律学科卒業

当事務所が最も注力する分野は遺産相続問題です。
遺産分割、遺留分侵害額請求、相続放棄、遺言書作成、家族信託、事業承継など遺産相続に関わる問題全般に対応しております。
相談件数の半分以上を相続問題が占めており、所属弁護士5名全員が、日々、相続に関して研鑽を積んでおります。是非、ご相談ください。  
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