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Q. 相続放棄は3ヶ月経過後にも認められるか?【相続放棄の熟慮期間の起算点について解説】

更新日:2023年7月25日

申述書

相続放棄の熟慮期間3ヶ月はいつから?

相続放棄の熟慮期間は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内とされています。そして、「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、一般的には、相続人が被相続人の死亡の事実を知った時となります。したがって、例えば、被相続人が亡くなったことを知ってから1年以上経過している場合、相続放棄の申述は原則できないことになります。一方で、被相続人が亡くなったものの、そのことを知らなかった場合は、自己のために相続の開始があったことを知ったとは言えないため、熟慮期間は進行しておらず、相続放棄をすることが可能です。


民法第九百十五条) 
「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。」

3ヶ月を過ぎた後に借金の存在を知った場合も相続放棄は認められないのか?【最判昭和59年4月27日】

もっとも、例えば、被相続人が亡くなったことを知ってから1年以上経過した後に、被相続人に多額の借金があったことを知ったというケースもあります。そのような場合も相続放棄の申述は認められないのでしょうか。

このようなケースについて、最高裁昭和59年4月27日判決は、例外的に熟慮期間の起算点を繰り下げる余地を認めています。判決では、相続人が熟慮期間内に相続放棄をしなかったことが、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人が上記のように信じたことについて「相当な理由」があると認められるときには、相続財産の全部もしくは一部の存在を認識した時から、熟慮期間が起算するとされています。例外が認められる「相当な理由」については、事案ごとに検討されますが、裁判例によると、相続人と被相続人との生前の交流状況や、債務の内容が被相続人の生活歴・生活状況等から想定できるか、相続財産の調査の容易性等をみて判断されると考えられます。

例えば、被相続人に財産や債務等が全くないと信じており、被相続人とその死亡まで長期間会っていない場合や、被相続人の仕事の状況や生活ぶりからみて借金をしていたことがあったとは想定できなかったことがやむを得なかったような場合などには、被相続人の借金の存在を知った時から熟慮期間が始まるとされる可能性があるでしょう。

なお、財産の一部については認識していたが、多額の借金の存在は知らなかったというような場合に「相当な理由」が認められるかについては議論があるところです。裁判例では、「相当な理由」が認められた事例も、認められなかった事例も存在し、必ずしも熟慮期間の起算点の繰り下げが認められないわけではありません。

3ヶ月を経過していた場合の対応方法

既に3ヶ月を経過していた後に相続放棄の申述をする場合は、事情について説明した書面(事情説明書)を添付するとよいでしょう。内容としては、上記の最高裁判例を意識して記載する必要がありますので、実際には弁護士に依頼した方が相続放棄が受理される可能性が高くなると思われます。

当事務所の対応について

当事務所では、3ヶ月を経過した後の相続放棄についても常時対応しております。万が一3ヶ月を経過した後に相続放棄をする必要が生じた場合は、あきらめずに急ぎご相談ください。なお、相続開始から3ヶ月を経過した後の相続放棄でも認められる可能性はありますが、借金の存在に気付いてから3ヶ月を経過してしまうと、相続放棄が認められなくなるので要注意です。

※相続放棄の相談をご希望のかたはこちらのページをご覧ください。

【記事監修者】

弁護士法人しらと総合法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや)  
第二東京弁護士会所属  中央大学法学部法律学科卒業

【代表弁護士白土文也の活動実績】
・相続弁護士基礎講座(弁護士向けセミナー)講師(レガシィクラウド動画配信)
・ベンナビ相続主催「相続生前対策オンラインセミナー」講師
・弁護士ドットコム主催「遺産相続に関する弁護士向けセミナー」登壇
その他、取材・講演多数
  
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