遺産相続問題に関するよくある質問や、相続に関する基礎知識・豆知識、判例などをQ&A方式でご紹介いたします。
Q. 家族信託は認知症になってからでも間に合う?できないケースと適切なタイミングを弁護士が解説
2026年3月17日更新

【記事監修者】 ![]() 弁護士法人しらと総合法律事務所・代表弁護士 白土文也 (しらとぶんや) 第二東京弁護士会所属 中央大学法学部法律学科卒業 【代表弁護士白土文也の活動実績】 ・相続弁護士基礎講座(弁護士向けセミナー)講師(レガシィクラウド動画配信) ・ベンナビ相続主催「相続生前対策オンラインセミナー」講師 ・弁護士ドットコム主催「遺産相続に関する弁護士向けセミナー」登壇 その他、取材・講演多数 弁護士のプロフィールはこちら |
| 【相続の相談初回60分無料(※)】 ご自宅や職場からオンライン法律相談(※)が可能です。 また、相談だけでなく、ご依頼もオンラインで可能です。 現在、弁護士は、調停・審判・訴訟などの裁判手続きについて、多くの案件でウェブ会議や電話会議により出廷しております。地域を問わずご依頼いただける時代になりました。 遠方だからという理由であきらめることなく、是非お問い合わせください。 ※初回無料相談の対象になるご相談は、遺産分割・遺留分侵害額請求・使途不明金問題・遺言無効確認・相続放棄・相続人調査・相続財産調査・遺言調査・相続債務調査・遺言検認手続き・遺言執行業務に限ります。これら以外、例えば、相続発生前のご相談、遺産分割協議書に署名捺印した後のご相談などは初回から有料相談となります。 ※電話相談・メール相談は対応しておりません。事務所での相談又はオンライン相談のみ対応しております。 お問い合わせは、こちらから!(←クリックまたはタップしてください) |
【この記事の内容】 ・認知症による資産凍結のリスク ・家族信託とは? ・家族信託を元気なうちに検討すべき3つの理由 ・認知症になってからではもう間に合わないのか? ・家族信託のスタート時期はいつが最適? |
結論としては、家族信託は十分な意思能力があるうちにしかできません。ただし、認知症であっても、家族信託を行える場合もあります。以下、認知症になっても家族信託ができるケース、できないケースについて、最新の情報に基づいて解説します。
1 認知症による資産凍結のリスク
日本の法律では、人は通常、自分の財産を自由に管理し、処分することができます。また、自分の死後も、事前に遺言書を書いておけば、自身の財産を誰に引き継がせるかをあらかじめ決めておくことが可能です。
しかし、生存中に、認知症などにより判断能力が低下した場合、自分の財産を自由に処分できなくなります。高齢者だけではなく、若年性アルツハイマーや脳梗塞などの血管疾患を原因とする脳障害等の病気により、意思能力が低下する場合もありえます。
意思能力が低下すると、具体的には、
・銀行口座からの窓口で行う預金の引き出しができなくなる
・不動産の売却や建て替えができなくなる
・賃貸借契約の締結、賃貸物件の管理ができなくなる
といった事態が生じます。
その場合、たとえ配偶者や子供であっても、本人の代わりに財産を動かすことはできません。
法は、そのような場合に備えて任意後見、成年後見など様々な制度を設けています。その中でも、近年、より注目を集めているのが、「家族信託」です。
(任意後見と家族信託の違いについて詳しくお知りになりたい方は、別記事「Q. 任意後見制度と家族信託の違いとは?どちらを選ぶべきか違いを比較・併用についても解説」もご参照ください。https://souzoku.shirato-law.jp/qa-0040/)
2 家族信託とは?
家族信託とは、一言で言えば、自身の財産を管理・処分する権限を、信頼できる家族に託して、自分で決めた目的に沿って管理・処分してもらう契約のことです。法律的には、「民事信託契約」といいます。
例えば、「将来認知症になったときに備えて、賃貸物件の管理を子どもに任せ、賃料収入から生活費を確保したい」といった目的で家族信託が使われます。
家族信託の最大の特徴は、「財産管理の方法を、オーダーメイドで設計できる」点にあります。どの財産を信託の対象にするか、信託財産を誰に管理してもらうか、いつ信託を終了させるか、信託終了時に信託財産を誰の所有にするかなど、一から自分で決めることができます。
3 家族信託を元気なうちに検討すべき3つの理由
家族信託は、ご本人が元気なうち、つまり健康で十分な判断能力があるうちに検討を始める必要があります。その理由は大きく分けて3つあります。
理由1:契約には「意思能力」が必要
家族信託は、委託者(本人)と受託者(家族)の合意に基づく契約です。 民法上、契約の締結を行う際には、物事を十分に理解する能力である「意思能力」が求められます。
そのため、信託の仕組みを理解できない、自分の財産内容がわからないなど、意思能力がない状況では、家族信託契約を締結することができません。単なる「もの忘れ」程度であれば問題ありませんが、判断能力が失われてしまう前に行う必要があります。
理由2:家族信託の理解には高度な意思能力が必要
家族信託とは、対象財産や管理する人、期間などを細かく決めることができる、かなり自由度の高い契約です。その自由度の裏返しとして、家族信託は遺言などと比べると複雑な内容になります。家族信託を行う際には、このような複雑な内容を理解できるだけの意思能力が必要となります。
また、信託にはいろいろなスキーム(方法)があります。自身の死亡時にも信託を終了させず、自身の孫の代まで財産管理・承継について指定しておく信託や、会社の経営権をスムーズに次世代に引き継ぐために事業承継対策として家族信託を利用する場合などには、そのスキームは非常に複雑になることもあります。その場合には、より高度な意思能力が要求されることとなります。
理由3:内容を決定し、形にするまで時間がかかる
家族信託を行うには、通常、最終的に公証役場で「公正証書」として作成します。その際には、公証人から本人に対して、信託契約書の内容を理解しているのかどうか確認が行われますので、その時点で意思能力を有している必要があります。
家族信託を行う場合には、ご本人が自分の財産をどのように信託するのか、細かく決める必要があり、場合によっては弁護士のみならず、税理士にも相談しながら信託のスキームを決定します。
さらに、受託者(財産を預かる人)は、信託契約が終了するまで信託財産を本人のために管理し続ける義務を負うため、受託者となる家族の理解、協力も不可欠です。家族全員が納得のいく内容にまとめあげるためには、通常、数か月単位の時間が必要となります。
認知能力が低下してきてから家族信託を検討した場合、最初のうちは信託についてきちんと理解できていても、最終的に公正証書を作成する段階で意思能力が認められないと、家族信託はできなくなります。
4 認知症になってからではもう間に合わないのか?
すでに認知症の症状が現れている場合や、医療機関で認知症の診断を受けている場合でも、まだ諦めるのは早いかもしれません。
法的には、認知症=意思能力がないというわけではありません。認知症であっても、軽度認知障害(MCI)の段階などであれば、弁護士や公証人が本人と直接面談し、家族信託の内容を十分に理解していると判断した場合には、契約を締結できます。(家族信託契約は通常、公証役場で公証人立ち合いのもと、「公正証書」にて作成します。)
そのためには、本人が公証人から信託の内容について質問された際に、自らの意思で答えることができる状態である必要があります。
ただ、意思能力に不安がある状態で家族信託を進めると、信託契約自体は作成できても、後々、信託の内容に不満を持つ他の相続人などから、契約の無効を主張されるリスクがあります。弁護士などの専門家に相談し、リスク対策を行いながら慎重に進めていくべきです。
5 家族信託のスタート時期はいつが最適?
家族信託は、任意後見などと異なり、契約時にスタート時期を自由に設定できます。契約と同時に、受託者(ご家族など)が財産管理をスタートさせることも、契約後しばらく経ってから財産管理をスタートさせることもできます。
しかし、注意が必要なのは、「本人が認知症になったら信託契約の効力が発生する」等の条件付きの信託契約です。この場合、いつ信託契約の効力が発生するのか判断が難しく、必要な時期に信託を開始できないおそれがあります。
また、「認知症であることがわかった時点」ではすでに本人の意思能力が低下している可能性が高いです。その場合、不動産の登記手続きをするためにも意思能力が必要となりますので、不動産の信託登記ができず、実質的に、家族信託ができなくなってしまうリスクがあります。
そのため、家族によって適切な時期は異なりますが、正常な判断ができるうちに、信託契約と同時に管理をスタートさせるのが最も確実な方法です。
6 最後に
家族信託は、ご本人が元気なうちにしか行うことができない、家族の未来を守るための手段です。病気の早期発見・早期対策が肝心なように、将来の相続に備え、早めの対策を行うことが重要です。家族信託に興味がある方は、まずは一度、専門家である弁護士にお気軽にご相談ください。あなたとご家族にとって最適な形を一緒に考えていきましょう。
【ご注意】
本サイトに掲載されている情報は、記事公開時点における法令・判例・行政通達等に基づき、一般的な内容を解説したものです。内容は正確を期しておりますが、今後の法改正や制度変更により、現時点の情報と異なる可能性があります。
また、本記事は特定の事案に対する法的または税務上のアドバイスを行うものではありません。相続に関する判断は、個別の事情によって大きく異なるため、必ず弁護士・税理士等の専門家へご相談ください。
本記事の内容は、監修者の見解に基づいて作成されていますが、最終的なご判断はご自身の責任においてお願いいたします。掲載情報に基づいて生じた損害について、当サイトおよび監修者は一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
| 【しらと総合法律事務所の特徴】 (相続に関する豊富な実績) しらと総合法律事務所では、相続に関する新規のご相談をほぼ毎日受けており、また、各弁護士が担当した案件について事例の共有を行うことで、事務所内での知識の蓄積と共有も行っております。その他、外部の弁護士も参加する週1回の事務所内勉強会の開催や、弁護士向けの相続セミナー講師、一般の方向けの相続セミナー講師などの様々な活動を通して、日々研鑽を積んでおります。 解決困難な案件でも、是非あきらめずに当事務所にご相談下さい。代表弁護士の下、複数の弁護士でチームを組んで相続問題の解決に努めております。 (幅広い業務範囲) 開業以来10年間、遺産分割・遺留分侵害・預金の使い込みなどの相続トラブルはもちろん、相続放棄などの相続手続き代行や、遺言書作成・家族信託・事業承継などの生前の相続対策まで幅広い相続問題をサポートして参りました。 争いが生じた後に弁護士に相談するのではなく、争いにならないように、また、手続きだけで済むように弁護士に相談してください。 (「ワンストップ」によるサービスの提供) 相続問題は、法律問題以外も、税務・登記などの問題も絡み、弁護士以外の専門家に相談すべきケースも多くあります。しらと総合法律事務所では、協力関係にある税理士・司法書士等の専門家と連携し、ワンストップでご相談できるようサポートしております。お客様からご希望があれば税理士などの専門家をご紹介いたしますので、基本的に、お客様が自ら税理士や司法書士を探す必要はございません。必要に応じて当事務所での面談も可能です。 |
| 【相続の相談初回60分無料(※)】 ご自宅や職場からオンライン法律相談(※)が可能です。 また、相談だけでなく、ご依頼もオンラインで可能です。 現在、弁護士は、調停・審判・訴訟などの裁判手続きについて、多くの案件でウェブ会議や電話会議により出廷しております。地域を問わずご依頼いただける時代になりました。 遠方だからという理由であきらめることなく、是非お問い合わせください。 ※初回無料相談の対象になるご相談は、遺産分割・遺留分侵害額請求・使途不明金問題・遺言無効確認・相続放棄・相続人調査・相続財産調査・遺言調査・相続債務調査・遺言検認手続き・遺言執行業務に限ります。これら以外、例えば、相続発生前のご相談、遺産分割協議書に署名捺印した後のご相談などは初回から有料相談となります。 ※電話相談・メール相談は対応しておりません。事務所での相談又はオンライン相談のみ対応しております。 お問い合わせは、こちらから!(←クリックまたはタップしてください) |
関連Q&A
お問い合わせ
相続・家族信託・事業承継以外のご相談は、しらと総合法律事務所をご覧ください。
調布・三鷹・武蔵野・稲城・狛江・府中・多摩・小金井・西東京・世田谷・杉並など東京都の各地域、川崎・横浜など神奈川県、その他オンライン法律相談により全国各地からご相談頂いております。
電話受付時間:月~土(祝日を除く)10時~18時
メール受付時間:24時間365日受付中
※三鷹武蔵野オフィスの土曜日の相談対応について:第三土曜日のみご相談が可能です。
それ以外の土曜日の相談をご希望の方は、調布オフィス(042-444-7160)をご利用ください。
※平日18時以降(19時スタートがラスト)の相談も可能です(事前予約制・有料相談のみとなっております)。
※メールでのお問い合わせについては、通常1~2営業日以内に返信いたします。お急ぎの方は電話でお問い合わせください。
